HEALTH WORDS / 用語解説
幻覚剤
Hallucinogens
幻覚剤とは、知覚、思考、感情に劇的な変化をもたらす精神作用物質の総称である。1
幻覚剤は、その化学構造や作用機序、また引き起こす精神的・身体的な影響の違いから、いくつかの主要なグループに分類される。2
代表的な幻覚剤としては、LSD(リゼルギン酸ジエチルアミド)、シロシビン(マジックマッシュルームに含まれる成分)、メスカリン(ペヨーテサボテンに含まれる成分)などが挙げられ、これらは「古典的幻覚剤」や「セロトニン作動性幻覚剤」とも呼ばれる。2
これらの古典的幻覚剤は、主に脳内の神経伝達物質であるセロトニンの受容体に作用することで、その効果を発揮すると考えられている。1
幻覚剤を摂取した場合の作用は、使用者の性格、使用時の気分や心理状態、周囲の環境、そして摂取量によって大きく異なるとされている。2
一般的に、感覚の変容として、実際には存在しない幻覚を見たり、音が色彩として感じられるような共感覚を経験したりすることが知られている。1
また、時間の感覚が歪んだり、自分自身と周囲の境界線が曖昧になるような自我解体の感覚が生じたりすることもある。2
身体的な影響としては、瞳孔散大、心拍数や血圧の上昇、発汗、めまい、食欲不振、震えなどが引き起こされることがある。2
幻覚剤の危険性や副作用として、いわゆる「バッドトリップ」と呼ばれる恐怖感、強い不安、パニック発作、抑うつ状態を引き起こすことが挙げられる。1
さらに、幻覚剤の使用によって精神障害の症状が誘発されたり、使用終了後も長期間にわたって視覚的なフラッシュバック(知覚障害)が持続したりするリスクが指摘されている。2
古典的幻覚剤の多くは、身体依存や薬物耐性の形成は比較的少ないとされる一方で、予期せぬ事故につながる危険性や精神的依存のリスクが存在する。1
幻覚剤には古典的幻覚剤のほかにも、解離性麻酔薬に分類されるフェンサイクリジン(PCP)やケタミンなども含まれ、これらはNMDA受容体を介して作用し、現実感の喪失や解離状態を引き起こす特徴を持つ。2
多くの幻覚剤は法律によってその所持、使用、譲渡が厳しく規制されており、薬物乱用や薬物依存症の観点から公衆衛生上の重要な課題とされている。1