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HEALTH WORDS / 用語解説

後肢

後肢とは、四足歩行動物や二足歩行動物などにおける後方の肢(脚)の総称である。1 解剖学および獣医学の分野において、体の前肢に対する対義語として用いられる。2 四足歩行をする哺乳類などの動物においては、後肢は主に推進力を生み出す駆動源としての役割を担っており、骨格構造や筋肉の発達は運動器としての機能に特化している。3

解剖学的な構成において、後肢は骨盤と連結する部分から始まっており、大腿骨、膝蓋骨、脛骨、腓骨、そして足根骨、中足骨、趾骨といった骨によって構成されている。4 前肢が肩甲骨を介して体幹に筋肉性連結を主として結ばれているのに対し、後肢は寛骨を介して仙骨と堅固な仙腸関節を形成し、体幹の骨格と直接的な強い結合を持つのが一般的な特徴である。5 この強固な連結構造により、歩行や疾走、跳躍の際に地面から受ける大きな反発力を効率よく胴体へと伝えることが可能となっている。6

臨床獣医学や整形外科の領域では、後肢は様々な疾患や外傷の好発部位として知られている。7 特に大型犬などの犬種においては、股関節形成不全や前十字靭帯断裂、膝蓋骨脱臼といった関節疾患が頻発することが知られており、これらは跛行や疼痛を引き起こす主要な原因となる。8 また、神経学的な検査においても後肢の反射や固有受容感覚の確認は極めて重要であり、脊髄の病変や椎間板ヘルニアなどの神経疾患を局所診断するための重要な指標として用いられる。9

リハビリテーション医学の進展に伴い、後肢の機能回復や筋力維持を目的とした理学療法の重要性も高まっている。10 高齢動物における関節炎や筋萎縮に対しても、水中トレッドミルを用いた運動療法やマッサージ、鍼治療などが施され、後肢の可動域の維持と生活の質(QOL)の向上が図られている。11

参考文献・出典

  1. J-GLOBAL 科学技術用語和英対訳辞典: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200906045558151280 ↩
  2. 動物解剖学用語: https://www.jarm.or.jp/relics/anatomical_terms.pdf ↩
  3. 獣医学用語辞典: https://www.nvlu.ac.jp/library/vet_dictionary/ ↩
  4. 獣医学教育モデル・コア・カリキュラム: https://www.maff.go.jp/j/syouan/doubutsu/kansi/attach/pdf/index-31.pdf ↩
  5. 家畜比較解剖図説: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvms/78/5/78_15-0588/_pdf ↩
  6. 動物の運動力学とバイオメカニクス: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjhm/10/2/10_65/_pdf ↩
  7. 小動物外科学: https://www.nichivet.or.jp/journal/pdf/58_3_120.pdf ↩
  8. 日本獣医師会雑誌: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvma/65/8/65_623/_pdf ↩
  9. 獣医神経病学: https://www.jsvn.jp/guideline/pdf/guideline_2021.pdf ↩
  10. 動物リハビリテーション学会誌: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jar/5/1/5_1/_pdf ↩
  11. 小動物リハビリテーションガイドライン: https://www.jarm.or.jp/guideline/reha_2020.pdf ↩