HEALTH WORDS / 用語解説
後腹膜腔
retroperitoneal space
後腹膜腔とは、腹腔の後方に位置し、前方は壁側腹膜で覆われ、後方は腹壁の筋や骨によって囲まれた解剖学的な領域のことである。1
後腹膜腔は、頭側は横隔膜、尾側は骨盤腔の上口に達する範囲として定義される。2
この腔内には、尿路系を構成する腎臓や輸尿管、内分泌器官である副腎などの重要な臓器が存在している。3
また、消化器系の一部である十二指腸の大部分や、膵臓もこの領域に位置する腹膜後器官として分類される。4
さらに、全身の血液循環を担う大血管である腹部大動脈や下大静脈、およびそれらから分岐・合流する主要な血管が走行している。5
リンパ管やリンパ節、自律神経叢なども豊富に存在しており、代謝や体液調節において極めて重要な役割を果たしている。6
臨床医学においては、後腹膜腔に発生する腫瘍(後腹膜腫瘍)や、外傷などに伴う後腹膜血腫などの病態が知られている。7
この領域は周囲を頑丈な筋や骨、膜に囲まれており、病変が進行するまで症状が現れにくいという特徴があるため、画像診断におけるCTやMRIなどの検査が極めて重要となる。8
参考文献・出典
- 標準解剖学: https://www.ncnp.gov.jp/nin/guide/r4/standard_anatomy.html ↩
- 南山堂 医学大辞典: https://www.nanzando.com/ ↩
- MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル ↩
- 解剖学講義: https://www.kanehara-shuppan.co.jp/books/index.html ↩
- 慶應医学: https://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=KO40003001-00000853-0035 ↩
- 日本医科大学医学会雑誌: https://www.jstage.jst.go.jp/browse/nmJmed/_vols/-char/ja ↩
- 日本消化器外科学会雑誌: https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jpnjgos/-char/ja ↩
- 日本医学放射線学会雑誌: https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jjr/-char/ja ↩