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HEALTH WORDS / 用語解説

放射線防護学

Radiation Protection Science

放射線防護学とは、放射線が人体や環境に及ぼす悪影響を科学的に評価し、電離放射線の被ばくから人間社会および生態系を適切に守るための技術的・制度的対策を体系的に研究する学問分野である。1 国際放射線防護委員会(ICRP)などの国際機関が提唱する科学的知見や勧告を基盤として発展してきた。2

放射線防護学の基本的な目的は、放射線利用による便益を維持しつつ、確率的影響の発生確率を許容できる十分に低い水準まで抑制し、かつ確定的影響を完全に防止することにある。1 この目的を達成するため、放射線防護の体系においては「防護の正当化」「線量の最適化」「線量限度の適用」という3つの基本原則が厳格に守られなければならない。2

防護の正当化とは、特定の行為を行うことによって得られる便益が、それに伴って発生する放射線被ばくなどの不利益を上回ることを証明しなければならないという原則である。1 医療分野における放射線検査や放射線治療、あるいは原子力発電などのあらゆる放射線利用において、その行為そのものが社会的に妥当であるかどうかが事前に評価されなければならない。2

線量の最適化とは、いわゆるALARA原則(As Low As Reasonably Achievable)としても知られており、経済的および社会的要因を考慮に入れた上で、達成可能な限り低い被ばく線量を維持すべきであるという原則である。1 単に基準値以下に抑えるだけでなく、技術的な工夫や遮蔽、時間管理、距離の確保などの手段を用いて、可能な限り無駄な被ばくを低減させることが求められる。2

線量限度の適用とは、個人が受ける線量に対して法律や規制によって上限値を定め、その値を超える被ばくを一切許容しないという原則である。1 この線量限度は、正当化や最適化のプロセスとは独立して必ず遵守されるべきものであり、職業被ばくを行う放射線作業従事者や一般公衆のそれぞれに対して厳格に区分されて設定されている。2

被ばくの管理および評価においては、外部被ばくと内部被ばくの双方に対する対策が講じられる。2 外部被ばくに対しては、放射線源からの距離をとること、放射線を遮る遮蔽材を配置すること、および被ばくする時間を短縮することが防護の三原則とされる。1 一方、内部被ばくに対しては、放射性物質の吸入や経口摂取、あるいは皮膚からの吸収を防ぐため、換気設備の整備、防護服や手袋の着用、そして汚染検査の実施が徹底される。2

放射線防護学はまた、物理学、化学、生物学、医学などの多様な学問領域の成果を統合した学際的な分野であり、線量測定技術や放射線影響の評価手法の進歩とともに常に発展を続けている。1 原子力施設や医療機関だけでなく、環境モニタリングや緊急時対応など、現代社会における安全性の確保において不可欠な役割を果たしている。2

参考文献・出典

  1. 原子力規制委員会: https://www.nsr.go.jp/data/000212629.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
  2. 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/houshasen/index.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8