HEALTH WORDS / 用語解説
発現プロファイル
Expression profile
発現プロファイルとは、特定の細胞、組織、器官、あるいは個体における遺伝子群やタンパク質群の発現量の全体像を網羅的に示したものである。1
生物のゲノムにコードされた遺伝子は、生命活動の状況や環境変化に応じて、その転写および翻訳の量が動的に変動する。 発現プロファイルを解析することにより、ある特定の生理的状態や病態において、どの遺伝子が亢進し、どの遺伝子が抑制されているかを明らかにすることが可能となる。 これにより、細胞の分化メカニズムの解明や、疾患の分子病態の理解、バイオマーカーの探索などにおいて重要な手がかりが得られる。2
現代の分子生物学およびゲノム科学において、発現プロファイルの取得には主にDNAマイクロアレイ法や次世代シーケンサーを用いたRNA-Seq(RNAシーケンス)などの網羅的解析技術が用いられる。 これらの網羅的解析手法により、数万種類にも及ぶ遺伝子の発現量を同時に測定し、大量の発現データを得ることができる。 得られた発現データは、バイオインフォマティクス的手法を用いてクラスタリングやパスウェイ解析などの統計的処理が施され、遺伝子ネットワークや機能発現の推測に活用される。2
また、医学分野においては、がんなどの疾患組織と正常組織の間で発現プロファイルを比較することで、癌遺伝子やがん抑制遺伝子の同定が行われる。 さらに、薬剤を投与した際の遺伝子発現の変化をプロファイルとして捉えることで、薬効の評価や毒性予測、副作用のメカニズム解明への応用が進められている。 このように、発現プロファイルは基礎生物学の研究から臨床医学、創薬研究に至るまで幅広い領域で不可欠な基盤情報となっている。1
参考文献・出典
- 生命科学Dメインデータベース用語解説: https://togodb.biosciencedbc.jp/togodb/view/lifescience_dictionary ↩1 ↩2
- NIBIOHN 医薬基盤・健康・栄養研究所 蛋白質構造データバンク用語解説: https://pdbj.org/mine/help/glossary_ja ↩1 ↩2