HEALTH WORDS / 用語解説
社会保障費
Social Security Expenditure
社会保障費とは、社会保障制度を維持・運営するために要する費用の総称であり、主に国民年金や厚生年金などの年金給付、医療保険制度を通じた医療給付、介護保険制度による介護給付、そして失業や生活困窮に対応する生活保護などの社会福祉給付に充てられる公的経費を指す。1
我が国における社会保障費の概念や範囲を明確に定義し、その経費の推移を継続的に把握するための国際的な基準として、国立社会保障・人口問題研究所が作成・公表している社会保障給付費という統計がある。2
この社会保障給付費は、国際労働機関(ILO)の基準に準拠して集計されており、 sickness and health(疾病及び健康)、old age(高齢)、family(家族)、unemployment(失業)などの機能別に分類されることで、国の財政および国民経済における規模と構造を客観的に示す指標となっている。2
日本の社会保障費は、急速な少子高齢化の進展と医療技術の高度化に伴う医療・介護ニーズの増大を背景として、長期的に増加傾向をたどってきた。3
財務省などの政府資料によると、社会保障関係費は国税や地方税といった租税収入に加えて、現役世代および事業主が負担する社会保険料、そして将来世代への先送りである国債発行などを財源として賄われている。4
高齢者人口の割合が世界最高水準にある日本において、給付と負担のバランスをどのように取るかは財政健全化および持続可能性の観点から極めて重大な政策課題となっている。3
社会保障費の膨張は国の一般会計予算を圧迫する主要因となっており、医療費の窓口負担割合の見直し、ジェネリック医薬品の使用促進、診療報酬や介護報酬の改定、受給開始年齢の引き上げといった様々な構造改革や給付と負担の見直しが継続的に議論・実施されている。4
経済協力開発機構(OECD)の国際比較データにおいても、日本の対国内総生産(GDP)比における社会保障支出の割合は上昇を続けており、マクロ経済全体に与える影響や次世代への負担軽減に向けた財政政策のあり方が常に問われ続けている。3
参考文献・出典
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/h28-183-01.html ↩
- 国立社会保障・人口問題研究所: https://www.ipss.go.jp/ssj-new/index.asp ↩1 ↩2
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokousei/syakaihosyou/dl/h29_data.pdf ↩1 ↩2 ↩3
- 財務省: https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/seifuan05/04.pdf ↩1 ↩2