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HEALTH WORDS / 用語解説

自家貪食

オートファジー

自家貪食(オートファジー)とは、細胞が自身のタンパク質や細胞小器官などの成分を分解してリサイクルする生体の基本的な代謝機構である。1 この仕組みは栄養飢餓状態などのストレスに対する細胞の適応応答として働き、生体内の恒常性(ホメオスタシス)の維持に極めて重要な役割を果たしている。2

自家貪食の過程では、まず細胞質内に隔離膜と呼ばれる膜構造が出現し、分解対象となるタンパク質凝集体やミトコンドリアなどの細胞小器官を取り囲むことでオートファソームと呼ばれる二重膜の小胞が形成される。3 形成されたオートファソームは、細胞内の酸性コンパートメントであるリソソーム(植物や酵母の場合は液胞)と融合する。3 リソソームと融合したオートファソームの内部はリソソーム内の加水分解酵素によって内容物が分解され、生成されたアミノ酸などの低分子物質は細胞質へと輸送されて再利用される。2

この分解とリサイクルのプロセスは、生物の生存に不可欠であるだけでなく、異常なタンパク質や損傷した細胞小器官の蓄積を防ぐ品質管理としても機能している。1 そのため、自家貪食の機能不全や異常は、神経変性疾患、がん、代謝疾患、感染症など様々な疾患の発症や老化プロセスに関与していることが研究によって明らかにされている。2

分子レベルでの自家貪食の研究は、酵母を用いた遺伝学的解析を端緒として飛躍的に進展した。1 大隅良典栄誉教授らによってオートファジーに必須なAtg遺伝子群(Autophagy-related genes)が多数発見され、その分子メカニズムの全貌が解明された功績により、2016年のノーベル生理学・医学賞が授与された。1 現在では、哺乳類を含む多様な真核生物におけるシグナル伝達経路や、mTORなどのキナーゼを介した活性制御機構の詳細についても精力的な研究が続けられている。3

参考文献・出典

  1. 文部科学省: https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/10/1377855_00002.htm ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. 大阪大学: https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2016/20161004_1 ↩1 ↩2 ↩3
  3. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/57/2/57_086/_pdf ↩1 ↩2 ↩3