ホーム生存

HEALTH WORDS / 用語解説

生存

Survival

生存とは、生物学および医学において、個体が生命活動を維持し続け、死亡せずに存在している状態を指す最も基本的な生理学的状態である。1

生物一般においては、環境の変化に適応しながら代謝活動を行い、個体としての形質を保ち続けることを意味する。2

医学および臨床医学の分野における生存は、主に疾病や外傷を受けた患者が死亡に至らずに生命を保っている状態を指す。3

特に悪性新生物(がん)をはじめとする重篤な疾患の治療効果や予後を評価する上で、生存は極めて重要な指標として扱われる。4

臨床試験や疫学調査では、治療開始後あるいは診断後から患者が死亡するまでの期間を測定し、生存時間として統計学的に分析が行われる。5

この生存時間のデータを基にして算出される生存率は、特定の疾患に対する治療法のエビデンスを構築する上で不可欠な数値である。6

生存率にはいくつかの種類が存在し、死因に関わらずすべての死亡を計算に含める全生存期間や、特定の疾患のみによる死亡を対象とする疾患特異的生存期間などが定義されている。7

また、がんなどの治療において、腫瘍の増悪や再発が認められない期間を示す無増悪生存期間も、生存に関する重要な評価項目として広く用いられている。8

細胞生物学の領域における生存は、個々の細胞がアポトーシスなどの細胞死を回避し、生存シグナルと呼ばれる分子機構を介して代謝機能を維持している状態を指す。9

神経科学や救急医学の文脈では、脳の血流が途絶える虚血状態や、心停止状態に陥った生体において、蘇生処置や脳低温療法などの医療介入を通じて生存を維持させることが試みられる。10

このように、生存という概念は、単に死亡していないという事実を示すだけでなく、分子、細胞、個体、そして集団というあらゆる生物学的階層において、生命現象の持続性を評価するための核心的な医学用語となっている。11

参考文献・出典

  1. 厚生労働省 簡易生命表: https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life21/index.html ↩
  2. 国立国会図書館インターネット資料収集事業:環境省 生物多様性総合評価報告書: https://www.biodic.go.jp/biodiversity/index.html ↩
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス:生存率について: https://ganjoho.jp/public/reg_stat/statistics/about_survival.html ↩
  4. 厚生労働省 癌統計: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_taisaku.html ↩
  5. 国立がん研究センター 院内がん登録生存率集計: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html ↩
  6. 医薬品医療機器総合機構 審査管理課:臨床評価報告書: https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/0002.html ↩
  7. 国立がん研究センター がん情報サービス:用語集: https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/survival_rate.html ↩
  8. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構:医薬品の臨床試験の安全性評価に関するガイドライン: https://www.pmda.go.jp/int-standards/ich/0001.html ↩
  9. 科学技術振興機構 J-STAGE:細胞死と生存の分子機構: https://www.jstage.jst.go.jp/browse/nakakanshibi/-char/ja/ ↩
  10. 厚生労働省 救急医療体制のあり方に関する検討会: https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei_127811.html ↩
  11. 日本医学会:医学用語辞典: https://jams.med.or.jp/ ↩