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HEALTH WORDS / 用語解説

ストレス

stress

このページの目次
  1. ストレスによる身体への影響

肉体や精神にかかる負荷のこと。

人間がストレスを受けると、それに対するストレス反応が中枢神経系や身体の各部位で発生する。例えば、脈拍が速くなり血圧が上がるなどである。

ストレスによる身体への影響

過度のストレスによって生活習慣病の発症率の増加が確認されており社会問題となっている。胃潰瘍などの疾患や、脳への様々な悪影響が確認されている。

動物に共通する代表的なストレス反応は「視床下部-下垂体-副腎皮質ストレス反応系(HPA軸)」と呼ばれ、身体的・心理的ストレスを受けた場合は、この反応によって副腎皮質ホルモンが分泌される。

精神的ストレスの場合、大脳皮質や大脳辺縁系がまず興奮し、それが扁桃体中心核や分界条床核に伝わり、視床下部室傍核およびHPA軸を賦活させる。1

身体的ストレスの場合、その変化はまず血行性に脳弓下器官や最後野などから脳に伝えられ、副腎髄質からのノルアドレナリンやアドレナリンの放出を引き起こす経路と、迷走神経を介して延髄孤束核に伝えられ、その近傍のノルアドレナリンやアドレナリンを含む神経細胞から上行性の投射が起こり、これが室傍核を興奮させる経路がある。

副腎皮質から分泌される糖質コルチコイドの分泌は脳下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)によって促進され、その ACTH の分泌はさらに上位の視床下部室傍核の副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)によって促進されるという、いわゆる視床下部-下垂体-副腎系と呼ばれる3段機構で調節されます。2

このホルモンは、体の抵抗性を強める効果があるが、脳への悪影響(海馬の変性)などを引き起こすことが確認されている。実際にラットを用いた実験においては、慢性ストレスと副腎皮質ホルモンの慢性投与のどちらもが学習能力(空間記憶課題の成績)を低下させることが確かめられている。3

ラットやサルをストレス条件下に暴露すると、歯状回の細胞増殖が低下することが知られている。脳の大脳皮質前頭前野にも影響を及ぼし、高度な精神機能が阻害されることが確認されている。45

長期間にわたる慢性ストレスは,神経細胞を萎縮させ,樹状突起の分岐を減らす.重篤化すると神経細胞の脱落も生じる.6

ストレスがかかると、脳全体の神経からノルアドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質が放出され、これらの濃度が高まると神経細胞間の活動が弱まり最終的には停止する。酵素によってこれらの神経伝達物質が分解されることでストレスから回復する。この酵素には個人差があるため、ストレス耐性は個人によって異なる。

ドーパミンとノルアドレナリンによって高次認知に必要な前頭前野の回路が停止しても、通常はこれら神経伝達物質の分解酵素が働くため、機能停止は長くは続かず、ストレスが軽減すれば元の状態に戻ります。しかし、遺伝的にこれらの酵素の力が弱い人はストレスに弱いようです。7

ストレス状態が長く続くと、大脳皮質前頭前野の萎縮やうつ病、PTSDなどの症状が起こる。幼少期のストレスがPTSD患者に見られる海馬の萎縮に関与していることが示唆されている。

さらに、慢性的なストレスにさらされると、扁桃体の樹状突起(神経細胞から枝状に伸びて信号を受け取っている突起)が拡大する一方、前頭前野の樹状突起は萎縮します。ストレスがなくなれば、前頭前野の樹状突起は再生しますが、ストレスが非常に強い場合には回復能力が失われます。前頭前野の萎縮は、過去のストレス体験と関連していることも分かってきました。ストレスによる脳内変化が生じると、以後のストレスに対してさらに脆弱になり、うつ病や依存症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの不安障害につながると考えられています。7

参考文献・出典

  1. ストレスにより痛みが増強する脳メカニズム 仙波恵美子 和歌山県立医科大学医学部第二解剖: https://plaza.umin.ac.jp/jpps/issue/magazine/pdf/0303_02.pdf ↩
  2. 浜松医科大学 ストレスホルモン放出機構の新しい経路を発見: https://www.hama-med.ac.jp/bd79e0634826e38ffeef3b8d62a622dc.pdf ↩
  3. ストレスによる脳への影響: https://www.tsukuba.ac.jp/public/booklets/forum/forum75/33.pdf ↩
  4. 情動記憶の脳科学 : 海馬を中心に - 九大コレクション | 九州大学附属図書館: https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_detail_md/?lang=0&amode=MD100000&bibid=19246 ↩
  5. ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学: http://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/029758.html ↩
  6. 急性ストレス時に帯状回で起こるシナプス変化とその分子メカニズムの解明 研究代表者 北條泰嗣 (医学部 生化学): http://www.saitama-med.ac.jp/jsms/vol43/02/jsms43_180_183.pdf ↩
  7. ストレスと脳 | 生物学科 | 東邦大学 ↩1 ↩2