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HEALTH WORDS / 用語解説

AZFc

AZFc region

AZFcとは、ヒトY染色体の長腕(Yq11)に位置し、精子形成に必須な多くの遺伝子を含む無精子症因子(AZF)領域の一つである。1 Y染色体微小欠失において頻繁に観察される領域であり、男性不妊、特に無精子症や乏精子症の主要な遺伝的要因の一つとして広く知られている。2

AZFc領域は、多数のレトロボジーン、サブファミリー配列、およびダイレクト・インパーテッド(反転)リピートと呼ばれる複雑なDNA構造から構成されている。1 この領域内には、DAZ(Deleted in Azoospermia)遺伝子ファミリーをはじめとして、BPY2、CDY1、HSFYなど、精巣特異的に発現し配偶子形成や減数分裂の制御に関与する複数の遺伝子座が存在している。2

AZFc領域の構造的な特徴として、相同組換えを起こしやすい特徴的な反転反復配列(リピート構造)が密集している点が挙げられる。1 この反復配列間における非対立遺伝子間相同組換え(NAHR)が原因となり、Y染色体の複製や減数分裂の過程で欠失が生じやすくなっている。2 AZFc領域全体が失われるb2/b3欠失やgr/gr欠失といった様々なパターンの微小欠失が知られており、欠失の範囲や種類によって精子形成障害の臨床的重症度や妊孕性への影響が異なることが報告されている。2

臨床的には、特発性男性不妊症患者のスクリーニング検査としてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法などを用いたY染色体微小欠失検査が実施され、AZFc領域の欠失有無が診断される。1 AZFc領域の欠失が存在する場合でも、精巣内精子採取術(TESE)などの生殖補助医療(ART)を用いることで、患者自身の精子を回収し妊娠・出産に至る可能性が残される場合があるため、その分子遺伝学的な評価は生殖医療の領域において非常に重要な意義を持つ。2

参考文献・出典

  1. 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/books/R100000039-I000625342-00 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. NBDCヒトデータベース: https://humandb.biosciencedbc.jp/humandb/entry?id=hum0197.v1 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5