HEALTH WORDS / 用語解説
Dartos筋膜
Dartos fascia
Dartos筋膜とは、陰嚢の皮膚のすぐ深層に存在する平滑筋線維を含む薄い筋膜(皮下組織)であり、肉様膜とも称される構造である。1
この筋膜は通常の皮下脂肪組織を欠いており、代わりに疎性結合組織と平滑筋細胞から構成されているのが特徴である。1
Dartos筋膜は陰嚢の皮膚と密接に結合しており、外部からの寒冷刺激などの温度変化に応じて収縮する機能を持っている。1
寒冷環境下や恐怖、性的興奮などの交感神経活動の高まりに伴ってDartos筋膜内の平滑筋が収縮すると、陰嚢の皮膚が縮こまって厚くなり、表面積を減少させることで放熱を防ぎ精巣の温度を維持する体温調節の役割を果たす。1
逆に温暖な環境下では平滑筋が弛緩し、陰嚢の皮膚が伸びて表面積が増加することで熱を放散しやすくなる。1
解剖学的には、Dartos筋膜は腹壁の浅層筋膜(Scarpa筋膜など)の連続として陰嚢部において移行したものであり、陰嚢の正中線では左右の陰嚢を隔てる陰嚢中隔を形成する。1
また、男性における陰嚢だけでなく、女性の外陰部における大陰唇の皮下組織にもこれに相当する平滑筋を含む筋膜構造が存在することが知られている。2
臨床医学や泌尿器科領域においては、陰嚢の外傷や炎症、浮腫、あるいは精巣固定術などの手術アプローチの際に解剖学的な層構造の目印として極めて重要な組織となっている。1
参考文献・出典
- Anatomy, Abdomen and Pelvis, Scrotum: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK557551/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
- Anatomy, Pelvis, Labia Majora: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK560644/ ↩