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HEALTH WORDS / 用語解説

ETB

ETBとは、胚移植(Embryo Transfer)の略称であり、生殖補助医療において受精卵(胚)を母体の子宮内腔へと移植する医療技術である。1 体外受精や顕微授精の過程を経て得られた良好な胚を子宮に戻すことで、妊娠の成立を目指す不妊治療における極めて重要なステップの一つである。2

ETBの施術にあたっては、事前にホルモン剤などを用いた子宮内膜の調整を行い、胚を受け入れるのに最も適した状態(着床窓)を整えることが基本となる。1 移植の時期としては、受精後2〜3日目の初期胚(分割胚)を戻す方法と、受精後5〜6日目まで培養した胚盤胞を戻す方法があり、患者の年齢、これまでの治療歴、凍結胚の有無などを総合的に勘案して決定される。2

施術の手順としては、通常、麻酔を使用せず、経腹超音波検査による画像をモニターで確認しながら、カテーテルと呼ばれる細い管を腟および子宮頚管を通して子宮内へ慎重に挿入する。1 そして、胚を含んだ微量の培養液を子宮の最良の位置へと静かに送り込む。2 手技自体は数分程度で終了し、身体的な負担が比較的少ないことが特徴である。1

ETBには、新鮮胚をそのまま移植する「新鮮胚移植」と、一度すべての胚を凍結保存し、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスク回避や子宮内膜の状態改善を目的として別の月経周期に融解して移植する「凍結融解胚移植(FET)」が存在する。2 近年の生殖補助医療においては、胚培養技術や凍結保存技術(ガラス化法など)の目覚ましい進歩に伴い、母体への安全性や妊娠率の向上の観点から、凍結融解胚移植を選択する割合が増加している傾向にある。1

ETBの成功率は、移植する胚のグレード(品質)や患者の年齢に大きく左右される。2 特に女性の年齢が上がるにつれて妊娠率は低下し、流産率が上昇することが知られているため、生殖医療の専門医による適切なカウンセリングと治療計画の立案が不可欠である。1 また、多胎妊娠を防止し母児の健康を守るため、日本産科婦人科学会の見解に基づき、原則として移植する胚の数は「1個」とすることが推奨されている。2

参考文献・出典

  1. 日本生殖医学会: https://www.jsrm.or.jp/public/houkoku_data/file/glossary.pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
  2. 日本産科婦人科学会: https://www.jsog.or.jp/medical/287/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6