HEALTH WORDS / 用語解説
GLUT10
Glucose transporter 10
GLUT10とは、ヒトにおいてSLC2A10遺伝子によってコードされているグルコーストランスポーター(糖輸送体)ファミリーの膜タンパク質である。1 SLC2A10遺伝子の変異がヒトの疾患の原因となることが知られており、分子生物学および医学の分野で研究されている分子である。2
GLUT10は、SLC2Aファミリーに属するトランスポーターの一つであり、細胞膜を介したグルコースやガラクトースなどの単糖類の輸送に関与している。3 SLC2A10遺伝子は染色体20q13.11に位置しており、常染色体劣性遺伝の形式をとる疾患の原因遺伝子として同定された。1
SLC2A10遺伝子の変異は、動脈奇形や弁膜症などを特徴とする結合組織疾患であるアルトワーズ症候群(Arterial tortuosity syndrome: ATS)を引き起こすことが明らかにされている。2 アルトワーズ症候群の患者では、大動脈をはじめとする全身の動脈が著しく蛇行し、動脈瘤や動脈解離、狭窄などの重篤な心血管系合併症を発症するリスクが高まる。1
細胞生物学的な研究において、GLUT10は主に小胞体に局在していることが示されているが、その正確な細胞内局在や糖輸送以外の機能についてはさらなる解析が進められている。3 また、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF-beta)シグナル伝達経路との関連性が示唆されており、血管壁の細胞外マトリックスの恒常性維持や弾性線維の形成において重要な役割を果たしていると考えられている。2
このように、GLUT10は単なる糖代謝の枠組みを超えて、結合組織の構造維持や血管の物理的特性の保持に深く関わっているタンパク質として、臨床医学および遺伝学の領域で重要な研究対象となっている。1
参考文献・出典
- Genetics Home Reference: https://medlineplus.gov/genetics/gene/slc2a10/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- OMIM: https://omim.org/entry/606145 ↩1 ↩2 ↩3
- Entrez Gene: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/81031 ↩1 ↩2