HEALTH WORDS / 用語解説
アンチセンス鎖
antisense strand
アンチセンス鎖とは、DNAまたはRNAの二重鎖において、タンパク質のアミノ酸配列をコードする遺伝子情報を持つ鎖、またはmRNAと相補的な配列を持つ鎖のことである。1 分子生物学の分野においては、転写の際にRNAポリメラーゼによって鋳型として読み取られる鎖(鋳型鎖)を指すことが多い。2
二重鎖DNAは塩基の相補的な対合によって構成されており、2つの鎖の一方はアンチセンス鎖、もう一方はセンス鎖(コーディング鎖)と呼ばれる。 転写のプロセスでは、酵素であるRNAポリメラーゼがアンチセンス鎖を鋳型として結合し、その配列と塩基対合のルール(アデニンとウラシル、グアニンとシトシン)に従って相補的なRNA分子を合成する。3 この合成されたRNAはmRNAの前駆体となり、最終的に翻訳されてタンパク質を形作るため、鋳型として機能したアンチセンス鎖の情報が間接的にタンパク質の構造へと反映されることになると言える。1
一方で、もう一方の鎖であるセンス鎖は、mRNAと同じ配列(ただしチミジンがウラシルに置き換わる)を持つため、しばしば混同されやすいが、実際の転写の鋳型として直接利用されるのはアンチセンス鎖側である。2 このように、遺伝情報の保存から転写、そして遺伝子発現に至るまでの分子メカニズムにおいて、アンチセンス鎖は中心的な役割を担っている。3
参考文献・出典
- NHGRI Genome.gov: https://www.genome.gov/genetics-glossary/Antisense-Strand ↩1 ↩2
- National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK26821/ ↩1 ↩2
- National Center for Biotechnology Information: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK21126/ ↩1 ↩2