HEALTH WORDS / 用語解説
オキシトシン受容体
Oxytocin receptor
オキシトシン受容体とは、神経ペプチドであるオキシトシンが結合する受容体であり、G蛋白質共役受容体ファミリーに属する膜蛋白質である。1
ヒトにおいて、オキシトシン受容体はOXTR遺伝子によってコードされており、染色体の3番目に位置している。2
この受容体は主としてGq/11と呼ばれるG蛋白質と共役しており、オキシトシンの結合によってホスホリパーゼC経路が活性化され、細胞内カルシウム濃度の上昇を引き起こす。3
オキシトシン受容体は、子宮の平滑筋組織に多く発現しており、分娩時における子宮収縮の誘発において中心的な役割を果たしている。1
また、乳腺の筋上皮細胞にも存在し、授乳時における射乳反射を仲介することで母乳の排出を促す生理作用に関与している。3
中枢神経系においても、視床下部や大脳辺縁系などの脳の各領域に広く分布しており、社会行動、母性行動、信頼感の形成、ならびにストレスや不安の調節といった精神的・行動的プロセスの制御に深く関与している。1
臨床医学の分野では、妊娠末期の分娩誘導や陣痛促進、ならびに分娩後出血の予防および治療を目的として、オキシトシン受容体に作用する作動薬が医薬品として広く使用されている。4
一方で、OXTR遺伝子におけるDNAメチル化などのエピジェネティクス的な修飾や遺伝子多型は、個体間における社会性の差異や、自閉スペクトラム症をはじめとする精神疾患の病態形成への関与が示唆されており、精力的な医学・生物学的研究が進められている。2
参考文献・出典
- Pharmacology Reviews: https://pharmrev.aspetjournals.org/content/68/2/506 ↩1 ↩2 ↩3
- NCBI Gene: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/5021 ↩1 ↩2
- IUPHAR/BPS Guide to Pharmacology: https://www.guidetopharmacology.org/GRAC/ObjectDisplayForward?objectId=454 ↩1 ↩2
- PubChem: https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Oxytocin ↩