HEALTH WORDS / 用語解説
オルタナティブスプライシング
Alternative splicing
オルタナティブスプライシングとは、真核生物の遺伝子発現過程において、プレmRNAからイントロンを除去しエクソンを再結合させるスプライシングの際に、どの部分をエクソンとして残すかの組み合わせを変化させることにより、1つの遺伝子から複数の異なるmRNA(転写産物)を生成する機構のことである。1
ゲノム上の遺伝子数が限られているにもかかわらず、タンパク質の多様性を飛躍的に増大させる主要な仕組みの一つとして知られている。1
DNA上の遺伝情報は転写によってプレmRNAへと写し取られた後、タンパク質へと翻訳される前のRNAプロセシングの段階でスプライシングを受ける。2
通常のスプライシングでは特定のエクソンの組み合わせが固定されているが、オルタナティブスプライシングではエクソンのスキップ、スプライサイトの選択的利用、イントロンの保持など、多様な様式によって異なるmRNA前駆体の切断と再結合が行われる。1
この機構により生み出された多様なmRNAが翻訳されることで、アミノ酸配列や機能、局在、安定性が異なる複数のアイソフォーム(多様体タンパク質)が合成される。1
オルタナティブスプライシングの制御は、スプライシング因子と呼ばれるタンパク質群がプレmRNA上の特定の配列(エンハンサーやサイレンサー)に結合することによって精密に行われており、組織特異的な発現や発生段階に応じた使い分けが実現されている。2
ヒトを含む高等真核生物においては、大部分のタンパク質コード遺伝子がオルタナティブスプライシングを利用していることが網羅的なトランスクリプトーム解析などによって明らかにされている。1
このメカニズムの異常や破綻は、スプライシング異常を引き起こし、がん化や遺伝性疾患を含む様々な疾患の発症や病態進展に深く関与していることが示されている。1
そのため、オルタナティブスプライシングの制御メカニズムの解明や、それを標的とした核酸医薬などの新しい治療法の開発に向けた研究が精力的に進められている。2