HEALTH WORDS / 用語解説
オーロラキナーゼ
Aurora kinase
オーロラキナーゼとは、真核生物の細胞分裂(有糸分裂および減数分裂)において中心体の分離や紡錘体の形成、染色体分配などの制御に中心的な役割を果たすセリン・スレオニンキナーゼファミリーである。1
哺乳類などの高等真核生物においては、主にオーロラA、オーロラB、オーロラCという3種類のアイソフォームが存在し、それぞれが異なる局在と機能を担っている。1
オーロラAは、中心体や紡錘体極に局在し、中心体の成熟や分離、紡錘体の形成不全を防ぐ監視機構である紡錘体チェックポイントの制御などに関与している。1
オーロラBは、細胞分裂期の進行に伴って染色体のセントロメア領域や中央紡錘体(ミッドボディ)へと移動し、染色体の二面体方向の動原体接着の正常化や、細胞質分裂の完了において不可欠な役割を果たしている。1
オーロラCは、主として精巣などの生殖細胞における減数分裂期に特異的に発現し機能するほか、一部の体細胞分裂においてもオーロラBの機能を補完あるいは重複して担うことが知られている。1
これらのキナーゼの活性異常や過剰発現は、染色体不分離や異数性の誘発を招き、正常な細胞周期の制御を破綻させる原因となる。2
特に多くのヒト悪性腫瘍(がん)において、オーロラキナーゼの発現亢進や遺伝子増幅が頻繁に観察されることから、腫瘍化の進展やゲノム不安定性の維持に深く関与していると考えられている。2
そのため、オーロラキナーゼは抗がん剤開発における重要な分子標的の一つとなっており、これら因子の酵素活性を特異的に阻害する低分子化合物(分子標的薬)の研究開発や臨床試験が精力的に進められている。2
参考文献・出典
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201002073998782928 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907044075102148 ↩1 ↩2 ↩3