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HEALTH WORDS / 用語解説

カリウム競合型酸ブロッカー

Potassium-competitive acid blocker

カリウム競合型酸ブロッカーとは、胃酸分泌の最終段階に関与するプロトンポンプ(H+,K+-ATPase)を可逆的かつカリウムイオンと競合的に阻害することで、強力な胃酸分泌抑制作用を示す薬剤である。1 従来のプロトンポンプ阻害薬(PPI)と比較して、酸による活性化を必要とせず、投与後速やかにプロトンポンプを阻害するため、初回の投与から安定した高い胃酸分泌抑制効果を発揮する特長を持つ。1

薬理学的には、H+,K+-ATPaseのカリウムイオン結合部位に結合することにより、胃腔内への水素イオンの放出を抑制する。2 既存のプロトンポンプ阻害薬は酸によりプロトンポンプが活性化されることで初めて効果を発揮するプロドラッグ的な性質を持ち、効果発現までに数日を要することがあった。 これに対し、カリウム競合型酸ブロッカーは薬物そのものが高い酸抵抗性と安定性を有しており、消化管から吸収された後、速やかに標的であるプロトンポンプに到達して阻害作用を示す。2

臨床試験や薬物動態学的解析において、本群に属する化合物はCYP2C19の遺伝子多型の影響を受けにくいことが示されている。1 従来のプロトンポンプ阻害薬の多くは肝代謝酵素CYP2C19によって代謝されるため、患者の遺伝子型(代謝速度の違い)によって血中濃度や臨床効果に個人差が生じやすいという課題があった。 カリウム競合型酸ブロッカーは、肝代謝におけるCYP2C19への依存度が低減されているか、あるいは非依存的な経路を含むため、遺伝子多型に関わらず安定した薬物動態と薬力学的効果が得られやすい。1

適応疾患としては、逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、非びらん性胃食道逆流症、さらにはヘリコバクター・ピロリの除菌補助などが挙げられる。1 持続的な胃酸分泌抑制により、粘膜の治癒促進や胸焼けなどの諸症状の改善に広く用いられている。2

参考文献・出典

  1. PMDA 医薬品情報: https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultOutputPdf/450143_23990F1F1020_1_02 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
  2. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/155/4/155_23049/_article/-char/ja/ ↩1 ↩2 ↩3