HEALTH WORDS / 用語解説
カントングワ
カントングワとは、一般にカントンの嵌頓(かんとん)を指し、特にヘルニアなどの臓器や組織が本来の位置に戻らなくなり、血流障害や壊死を引き起こす重大な病態を意味する医学用語である。1 ヘルニアの嵌頓が生じると、脱出した組織が絞扼されて血流が遮断されるため、緊急手術などの速やかな医療介入が必要とされる急性腹症の一つである。2
臨床の現場においては、鼠径ヘルニアや大腿ヘルニアなどの腹壁ヘルニアにおいて、腹腔内へ還納できなくなった腸管がカントングワ(嵌頓)を起こすことが最も頻繁に観察される。3 嵌頓状態が長時間放置されると、血流障害に起因する虚血が進展し、腸管壊死やそれに伴う穿孔、さらには汎発性腹膜炎といった致死的な合併症を併発するリスクが著しく高まる。1
カントングワの症状としては、ヘルニア門における強烈な疼痛、局所の腫脹および硬結が特徴的であり、腸閉塞を併発した場合には嘔吐や腹部膨満感などの消化器症状が表れる。2 医師による触診などの身体診察に加え、超音波検査やCT検査などの画像診断を実施することで、組織の血流状況や壊死の有無を評価し、治療方針が決定される。3
治療においては、発症からの経過時間や臨床症状を勘案しつつ、用手的な還納が試みられることもあるが、血流障害や組織壊死が疑われる場合には緊急手術による壊死組織の切除およびヘルニア修復術が不可欠となる。1 このように、カントングワは適切な鑑別診断と迅速な外科的治療が予後を大きく左右する、救急医療において極めて重要な病態の一つとして位置づけられている。2