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HEALTH WORDS / 用語解説

シナプス後密度

Postsynaptic Density

シナプス後密度とは、化学シナプスのシナプス後膜の細胞質側に存在する、電子顕微鏡的に高電子密度の肥厚した構造物である。1

神経細胞間における神経伝達の効率化や、シナプス伝達の可塑性において中心的な役割を担う専門分化したタンパク質網であり、グルタミン酸受容体などの受容体、細胞骨格タンパク質、シグナル伝達分子など、多数のタンパク質が緻密に集合して構成されている。1

中枢神経系の興奮性シナプスにおけるシナプス後密度は、膜蛋白として各種受容体や接着分子を含み、これらが細胞質側の足場タンパク質(スカフォールドタンパク質)を介して巨大な複合体を形成している。2

代表的な足場タンパク質としてはPSD-95などが知られており、これがシナプス後膜直下でラット脳などの生化学的分析において不溶性画分として高濃度に回収される特徴を持つ。2

この構造の主要な機能的役割の一つは、シナプス前端子から放出される神経伝達物質を効率よく受容できるように、受容体をシナプス間隙の対向位置へ正確に係留・集積させることである。1

また、受容体下流の様々な酵素やシグナル伝達分子を近傍に保持することで、神経伝達物質の結合に応じた迅速かつ特異的な細胞内情報伝達カスケードの起動を可能にしている。1

さらに、シナプス後密度は固定された静的な構造ではなく、長期増強(LTP)や長期抑圧(LTD)といったシナプス可塑性の誘導に伴い、その大きやタンパク質組成をダイナミックに変化させる性質を持っている。1

このような構造的・機能的なリモデリングは、記憶や学習といった高次脳機能の基盤をなすシナプス結合の強度の調節において極めて重要な意義を持つ。1

近年の超解像顕微鏡法やプロテオミクス解析の進展により、シナプス後密度の内部には分子が層状あるいはドメイン状に秩序立って配置されていることが明らかになりつつあり、個々の分子配置と機能相関に関する研究が活発に行われている。2

参考文献・出典

  1. 脳科学辞典: https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%83%97%E3%82%B9%E5%BE%8C%E5%AF%86%E5%BA%A6 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
  2. 生化学: https://www.jbsoc.or.jp/seikagaku/files/2013/85-05/85-05-07.pdf ↩1 ↩2 ↩3