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HEALTH WORDS / 用語解説

セレクター遺伝子

selector gene

セレクター遺伝子とは、個体発生や形態形成の過程において、特定の細胞群の運命や分化の方向性を決定し、領域のアイデンティティを与える転写因子などをコードする遺伝子群のことである。1

ショウジョウバエを用いた発生生物学的研究において最初に見出され、古くはホメオボックスを持つホメオティック遺伝子がその代表例として知られている。2

セレクター遺伝子は、下流に位置する多数の標的遺伝子の発現を統合的に制御することで、個々の体節や器官に固有の形態的特徴を作り出す役割を担っている。1

通常の遺伝子が代謝や細胞周期といった個別の細胞機能を担うのに対し、セレクター遺伝子は細胞のグループ全体の運命を上位から切り替える「スイッチ」として機能する点に大きな特徴がある。2

発生の初期段階において、これらの遺伝子が空間的および時間的に厳密な制御を受けて発現することで、胚全体の体軸に沿ったパターン形成が正確に行われる。1

近年の分子生物学および進化発生学の進展により、セレクター遺伝子の機能や発現パターンの変化が、生物の多様な形態を生み出す進化の原動力となったことが明らかにされつつある。2

参考文献・出典

  1. 京都大学 物質-細胞統合システム拠点: https://www.icems.kyoto-u.ac.jp/j/press/2012/03/nr026.html ↩1 ↩2 ↩3
  2. 国立遺伝学研究所: https://www.nig.ac.jp/nig/ja/history-ja/yoshiko-sagawa-history/yoshiko-sagawa-history-3 ↩1 ↩2 ↩3