HEALTH WORDS / 用語解説
セレノプロテインI
Selenoprotein I
セレノプロテインIとは、セレンをアミノ酸の一種であるシステインの代わりに組み込んだ特殊なタンパク質であり、哺乳類を含む多くの生物のゲノムにコードされている遺伝子産物の一つである。1
生物学的および生化学的な機能として、セレノプロテインIはホスファチジルエタノールアミンの生合成経路において重要な役割を果たしている酵素であるホスファチジルエタノールアミン・セリン・トランスフェラーゼとしての活性を持つことが明らかにされている。2
この酵素活性を通じて、細胞内におけるリン脂質の代謝や膜構造の維持、特に神経系の発達や髄鞘の形成において不可欠な機能を担っていることが研究によって示されている。3
ヒトゲノムにおいては、セレノプロテインIをコードするSELENOI(またはEPT1)遺伝子が存在し、染色体上に位置していることが遺伝学的な解析により確認されている。1
セレノプロテインIの生合成には、セレンの特異的な翻訳的取り込み機構が必要であり、通常のタンパク質合成とは異なるセレノシステイン挿入配列を介した複雑な分子生物学的プロセスを経て細胞内で発現する。2
近年の医学および遺伝学的研究により、この遺伝子の変異や機能異常が、遺伝性の痙性対麻痺をはじめとする神経変性疾患などの重篤な疾患の発症に関与していることが報告されている。4
参考文献・出典
- NCBI Gene: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/10797 ↩1 ↩2
- UniProt: https://www.uniprot.org/uniprotkb/Q8VWZ3/entry ↩1 ↩2
- National Library of Medicine: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24029490/ ↩
- PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24029490/ ↩