HEALTH WORDS / 用語解説
ツベルシジン
Tubercidin
ツベルシジンとは、放線菌の一種であるストレプトミセス属(Streptomyces rochei var. tubercidinatus)の培養液などから単離された、プリンヌクレオシド類似体構造を持つ天然の抗生物質および代謝拮抗物質である。1
化学構造的にはアデノシンの7-デアザアナログであり、アデノシンのプリン環の7位の窒素原子が炭素原子に置き換わったピロロ[2,3-d]ピリミジン環にリボースが結合した構造(別名: 7-デアザアデノシン)を有している。2
この類縁体構造に起因して、ツベルシジンは細胞内においてアデノシンキナーゼなどの酵素によってリン酸化され、ヌクレオチド誘導体へと変換された上でRNAやDNAの合成に取り込まれるか、あるいは様々な代謝経路を阻害する。1
その結果として強力な細胞毒性、抗腫瘍活性、抗菌活性、および抗ウイルス活性を示すことが知られており、核酸代謝やタンパク質合成の研究における重要な生化学的ツールとして利用されてきた。1
しかしながら、ツベルシジンは宿主となる哺乳類の細胞に対しても非特異的かつ強い毒性(副作用)を発揮するため、そのままの形では安全な医薬品としての臨床応用が難しく、構造修飾による誘導体の合成などに関する研究が行われてきた経緯がある。2