HEALTH WORDS / 用語解説
トランスゴルジネットワーク
Trans-Golgi network
トランスゴルジネットワークとは、ゴルジ体の最もトランス側に位置し、タンパク質や脂質の選別と輸送を担う重要な細胞小器官の膜網状構造である。1 ゴルジ体はシスゴルジネットワーク、シスゴルジ面、メディアルゴルジ面、トランスゴルジ面、そしてトランスゴルジネットワークという一連の極性を持った区画から構成されており、その中でもトランスゴルジネットワークは生合成経路の最終的な選別ステーションとして機能している。2
小胞体で合成されゴルジ体を通過してきたタンパク質は、トランスゴルジネットワークにおいてそれぞれの最終目的地であるリソソーム、細胞膜、あるいは細胞外へと厳密に選別される。1 この選別および輸送の過程においては、様々なコートタンパク質や小胞が関与しており、特定のシグナル配列を認識した受容体が分子を集積させることで適切な小胞が形成される。2 例えば、酸性加水分解酵素などのリソソーム行きタンパク質は、マンノース-6-リン酸受容体によって認識され、トランスゴルジネットワークからリソソームへと輸送される。1
また、トランスゴルジネットワークはエンドサイトーシス経路やリサイクルエンドソームからのシグナルとも交差しており、細胞内の膜交通全体のハブとしての役割も果たしている。2 この領域では脂質の代謝や修飾も活発に行われており、スフィンゴ脂質やコレステロールなどの膜成分が生合成され、細胞膜の物性維持に寄与している。1 さらに、神経伝達物質やホルモンを蓄積する分泌顆粒の形成も、このトランスゴルジネットワークの領域から出芽する形で引き起こされる。2
このように、トランスゴルジネットワークは細胞の恒常性維持、シグナル伝達、および分子の品質管理において極めて中心的な機能を担う構造体である。1