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HEALTH WORDS / 用語解説

マンノース6-リン酸受容体

Mannose 6-phosphate receptor

マンノース6-リン酸受容体とは、リソソームに輸送される酵素などのタンパク質に付加されたマンノース6-リン酸を認識して結合する膜受容体である。1

真核細胞において、小胞体で合成されたリソソーム酵素はゴルジ体へと運ばれる。ゴルジ体のシス領域において、これらの酵素の糖鎖にあるマンノース残基のC6位にN-アセチルグルコサミン1-リン酸が転移され、さらにUDP-N-アセチルグルコサミンが外れることでマンノース6-リン酸タグが形成される。1 トランスゴルジネットワーク領域に存在しているマンノース6-リン酸受容体は、このマンノース6-リン酸残基を特異的に認識し、リソソーム酵素と結合する。1

マンノース6-リン酸受容体と結合したリソソーム酵素の複合体は、クラスリン被覆小胞によってトランスゴルジネットワークからエンドソームへと小胞輸送される。エンドソーム内は酸性環境(低pH)になっているため、受容体とリソソーム酵素の親和性が低下し、両者は解離する。1 解離したリソソーム酵素はそのままリソソームへと送られ、細胞内消化などの様々な加水分解反応を担う機能を発揮する。1

一方、リソソーム酵素を手放したマンノース6-リン酸受容体は、レトロマー複合体などの輸送小胞を介して再びトランスゴルジネットワークへとリサイクルされ、新たなリソソーム酵素の輸送に繰り返し利用される。1

マンノース6-リン酸受容体には、分子量の異なる2種類が知られている。 ひとつは分子量約300 kDaのカチオン非依存性マンノース6-リン酸受容体(CI-MPR)であり、もうひとつは分子量約46 kDaのカチオン依存性マンノース6-リン酸受容体(CD-MPR)である。1 CI-MPRは、リソソーム酵素の輸送だけでなく、細胞外に分泌されたインスリン様成長因子II(IGF-II)と結合してそのシグナルを調節するなど、多面的な機能を持つことが明らかにされている。2

これら2種類の受容体は、いずれも1型膜タンパク質であり、細胞外ドメイン、膜貫通領域、および細胞質ドメインから構成されている。細胞質ドメインには、小胞輸送やエンドサイトーシスを制御するための特定のアミノ酸配列(シグナルモチーフ)が存在しており、アダプタータンパク質との相互作用を通じて適切なオルガネラ間を移動する。1

マンノース6-リン酸受容体を介したリソソーム酵素の輸送機構に異常が生じると、本来リソソームに局在すべき多様な加水分解酵素が細胞外へと誤って分泌されてしまう。細胞内のリソソーム内では分解されるべき基質が蓄積し、結果として様々な重篤なライソゾーム病を引き起こす原因となる。2

参考文献・出典

  1. GlycoWord マンノース6-リン酸受容体: https://www.glycoforum.jp/database/glycoword/JAA-07J.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
  2. ライフサイエンス データベース統合推進事業 マンノース6-リン酸受容体: https://togodb.biosciencedbc.jp/glycoword/view/JAA-07J ↩1 ↩2