HEALTH WORDS / 用語解説
ナトリウム・グルコース共輸送体2
Sodium-glucose cotransporter 2
ナトリウム・グルコース共輸送体2とは、おもに腎臓の近位尿細管に存在し、原尿中のグルコースとナトリウムイオンを細胞内へ再吸収する膜タンパク質である。1
SGLT2とも称され、ヒトにおいてはSLC5A2遺伝子によってコードされている。2
腎臓の糸球体で濾過されたグルコースは、健康な状態であれば近位尿細管においてその大部分が回収される。3
このグルコースの再吸収の大部分、おもに初期のS1セグメントにおける取り込みを担っているのがナトリウム・グルコース共輸送体2である。3
本輸送体は、細胞外のナトリウムイオンが持つ電気化学的な濃度勾配を利用して、グルコースを細胞内へと輸送する二次能動輸送を行うトランスポーターである。1
細胞内に取り込まれたグルコースは、その後グルコーストランスポーター(おもにGLUT2)を介して間質へ移行し、毛細血管へと回収されることで血糖の恒常性維持に寄与している。3
糖尿病の病態下においては、腎臓におけるグルコースの再吸収閾値が上昇し、高血糖状態であるにもかかわらず尿糖が排泄されにくくなり、高血糖がさらに助長される機序が存在する。3
このような背景から、ナトリウム・グルコース共輸送体2は2型糖尿病治療薬の重要な分子標的として研究されてきた。3
ナトリウム・グルコース共輸送体2の機能を特異的に阻害する薬剤は、近位尿細管におけるグルコースの再吸収を抑制し、過剰な糖を尿中へ排泄させることで血糖降下作用を示す。3
このような薬剤はSGLT2阻害薬と呼ばれ、インスリン非依存的に血糖を低下させる新しい機序の治療薬として広く臨床応用されている。3
また、SGLT2阻害薬による尿糖排泄に伴ってカロリーが体外へ失われるため、体重減少効果や体液量の調整を通じた心不全および慢性腎臓病の進展抑制効果も臨床試験で示されている。3
一方で、尿中の糖濃度が上昇することにより、尿路感染症や性器感染症のリスクが増加する場合があるため、投与時には十分な注意が必要とされる。1
参考文献・出典
- PMDA 医薬品インタビューフォーム: https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDownLoad/400173_2149024F1020_1_02 ↩1 ↩2 ↩3
- KEGG GENES: hsa:6524: https://www.kegg.jp/dbget-bin/www_bget?hsa:6524 ↩
- 一般社団法人 日本糖尿病学会: https://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8