HEALTH WORDS / 用語解説
パルマウイルス
Parvovirus
パルマウイルスとは、主に動物やヒトに感染を引き起こす、極めて小型のDNAウイルスの一種である。1 英語では「Parvovirus」と表記され、ラテン語で「小さい」を意味する「parvus」に由来している。2
パルマウイルス科(Parvoviridae)に分類されるウイルスは、自然界において広く分布しており、哺乳類や鳥類など多様な宿主を標的とする。3 構造的な特徴として、エンベロープを持たない「エンベロープ非含有ウイルス」であり、正二十面体のカプシドと呼ばれるタンパク質の殻の中に、一本鎖のDNAゲノムを内包している。1 ゲノムサイズが非常に小さいため、自己複製を行う際には宿主細胞内のDNAポリメラーゼなどの複製機構や酵素に大きく依存しているという生物学的特性を持つ。4
ヒトに対して病原性を示す代表的な種としては、パルマウイルス科のパルボウイルスB19が挙げられる。3 このウイルスによる感染症は、小児期に好発し、両頬に蝶形の発赤が現れることから「伝染性紅斑」または「リンゴ病」の俗称で広く知られている。5 パルボウイルスB19は、ヒトの体内において赤血球の前駆細胞である赤芽球に特異的に親和性を示し、それに感染して細胞傷害を引き起こすため、一時的な赤血球産生の低下や貧血を誘発することがある。3 通常、免疫機能が正常な健常者であれば軽症で自然治癒することが多いが、妊婦が初感染した場合には胎児水腫や流産のリスクが生じるほか、溶血性貧血の持病を持つ患者では「赤芽球癆」という重篤な合併症を引き起こす危険性がある。3
また、獣医学の領域においても、パルマウイルスは重要な感染症の病原体として扱われている。6 例えば、イヌパルボウイルス感染症は、激しい嘔吐や下痢、白血球の急激な減少を主症状とする致死率の高い感染症であり、特に免疫力の弱い子犬において大きな脅威となる。6 このように、パルマウイルスに関する研究は、人獣共通の感染症対策やワクチン開発、さらには遺伝子治療のベクター応用などの分子生物学の分野においても非常に重要な位置を占めている。3
参考文献・出典
- Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AB%E3%83%B2%E3%83%B0%E3%83%AB%E3%8X%B9 ↩1 ↩2
- Wikipedia: https://en.wikipedia.org/wiki/Parvovirus ↩
- 国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/415-parvovirus-b19-intro.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5
- Wikipedia: https://en.wikipedia.org/wiki/Parvoviridae ↩
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/b/kenkoko/kekkaku-kansenshou/kansenshou-joho/index_00010.html ↩
- 農林水産省: https://www.maff.go.jp/j/syouan/douseisaku/kansi_tousyou/index.html ↩1 ↩2