HEALTH WORDS / 用語解説
ブチロシンA
Butirosin A
ブチロシンAとは、バクテリアの一種である放線菌の一株であるBacillus circulansによって産生されるアミノグリコシド系抗生物質の一つである。1
本物質は、リボソームの30Sサブユニットに結合することによりタンパク質の生合成を阻害し、抗菌活性を発揮するアミノグリコシド系抗生物質のグループに属している。2
化学構造的には、ストレプタミンあるいは2-ドオキソストレプタミンといったアミノサイクリトール環に、アミノ糖がグリコシド結合した構造を基本骨格として有している。3
抗菌スペクトルの観点からは、グラム陰性菌および一部のグラム陽性菌に対して広い抗菌活性を示すことが知られており、特に他の抗生物質に対して耐性を持つ細菌に対しても効果を示す場合がある。4
しかし、他のアミノグリコシド系抗生物質と同様に、腎毒性や聴器毒性といった重篤な副作用を引き起こすリスクがあるため、その臨床的な使用においては厳重な投与量の管理や血中濃度のモニタリングが必要とされる場合がある。5
生合成経路の研究においては、遺伝子クラスターの解析が進められており、発酵工学的な手法を用いた生産性の向上や、構造修飾による新規誘導体の創出に関する研究が行われてきた歴史がある。6
医薬品としての実用化の過程において、より副作用が少なく抗菌力に優れた次世代の合成抗菌薬や半合成抗生物質が開発されたことに伴い、現在では主に生化学的な研究用試薬や、薬剤耐性に関する基礎研究のツールとして利用されている。3
参考文献・出典
- 医薬品医療機器総合機構 添付文書情報: https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/ ↩
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構 NITE Biodatabase: https://www.nite.go.jp/ ↩
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/ ↩1 ↩2
- PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/ ↩
- KEGG MEDICUS: https://www.kegg.jp/kegg/medicus/ ↩
- CiNii Research: https://ci.nii.ac.jp/ ↩