HEALTH WORDS / 用語解説
中枢神経系腫瘍分類
Classification of Tumours of the Central Nervous System
中枢神経系腫瘍分類とは、脳および脊髄を含む中枢神経系に発生する腫瘍に対し、組織学的特徴や遺伝子学的異常に基づいて体系的な診断基準と悪性度の階層化を行うための国際的な分類体系である。1
世界保健機関(WHO)が発行する「WHO分類」が臨床および病理学の分野における標準として広く用いられており、神経膠腫、髄膜腫、胚細胞腫瘍など多岐にわたる腫瘍型が網羅されている。2
歴史的に、中枢神経系腫瘍の分類は主として光学顕微鏡を用いた組織診、すなわち細胞の形態学的特徴や細胞分化の方向性に基づいて行われてきた。1
しかし、近年の分子生物学およびゲノム科学の飛躍的な進展に伴い、同じ組織型であっても遺伝子変異や分子的特徴の違いによって予後や治療感受性が大きく異なることが明らかにされてきた。2
これを受け、近年の分類改訂においては、従来の組織学的診断に加えて、IDH遺伝子変異や1p/19q共欠失、TERTプロモーター変異、H3 K27M変異といった分子生物学的指標を統合した統合診断が強く推奨されるようになっている。1
このような分子病理学的アプローチの導入により、中枢神経系腫瘍分類は単なる形態学的な類別にとどまらず、患者ごとの予後予測や個別化医療を最適化するための極めて重要な臨床的ツールとしての役割を担うに至っている。2
参考文献・出典
- WHO Classification of Tumours Online: https://tumourclassification.iarc.who.int/chapters/45 ↩1 ↩2 ↩3
- CNS WHO 5: https://www.who.int/news/item/01-04-2021-cns-who-5 ↩1 ↩2 ↩3