HEALTH WORDS / 用語解説
亜急性毒性
Subacute Toxicity
亜急性毒性とは、化学物質や医薬品などを比較的長期間、通常は反復して投与または暴露した場合に引き起こされる毒性発現のことである。1
一般的に、動物実験における亜急性毒性試験は、実験動物(ラットやマウスなど)の寿命の長期間(げっ歯類では通常3ヶ月程度)にわたり、被験物質を毎日または週に数回、継続して投与することによって実施される。2
この毒性試験の主な目的は、毒性学的な無毒性量(NOAEL)や最小毒性量を算出し、ヒトが化学物質に反復暴露された際の安全性を評価するための基礎データを取得することにある。3
急性毒性が単回投与あるいは24時間以内の複数回投与による即時的な毒性反応を評価するのに対し、亜急性毒性は、より長期的な反復投与によって生じる臓器への蓄積的な影響や、代謝過程における慢性的な毒性の初期段階を検出する上で極めて重要な指標となる。4
試験の評価項目としては、一般状態の観察、体重変化、摂餌量および摂水量の測定に加え、血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査などの臨床検査が網羅的に行われる。5
さらに、試験終了後には病理学的な検査として、主要な臓器の肉眼的観察および組織標本を用いた顕微鏡的な組織病理学的検査が実施され、細胞レベルでの微細な病変や組織の変性、壊死などが詳細に確認される。6
こうした亜急性毒性試験から得られた知見は、農薬の残留基準値の設定、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に基づく安全性評価、および新薬開発における臨床試験への移行判断など、幅広い規制科学の分野において不可欠な情報として活用されている。7
参考文献・出典
- 厚生労働省 e-JIM: https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/glossary/a-09.html ↩
- 医薬品医療機器総合機構 審査報告書: https://www.pmda.go.jp/drugs/2015/P201500055/340217000_22700AMX00615_B102_1.pdf ↩
- 国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部: https://www.nihs.go.jp/tox/j_sot/kinen25/25kinen_04.pdf ↩
- 厚生労働省 医薬品の毒性試験ガイドライン: https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?data=00007559&type=1&page=1 ↩
- 独立行政法人製品評価技術基盤機構: https://www.nite.go.jp/data/000007671.pdf ↩
- 農林水産省 消費・安全局: https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouyaku/n_kanri/g_eval/attach/pdf/index-38.pdf ↩
- 環境省 化学物質の環境リスク評価: https://www.env.go.jp/chemi/kisha/h25/file.php?1540-3.pdf ↩