HEALTH WORDS / 用語解説
内耳蝸牛
内耳蝸牛(ないじかぎゅう)とは、側頭骨の岩様部に位置し、哺乳類を含む脊椎動物の聴覚受容器として音波の振動を電気信号に変換する蝸牛管などを内包する骨迷路の一部である。1
ヒトの蝸牛は、骨迷路の中央に位置する蝸牛軸という骨の柱の周囲を、成人で約2.5回転から2.75回転螺旋状に旋回する管状の構造物である。2 その形態がカタツムリの殻に似ていることから蝸牛と名付けられた。3 蝸牛の内部は基底膜と前庭膜(ライスナー膜)によって前庭階、鼓室階、中間階(蝸牛管)の3つの区画に仕切られている。3 前庭階と鼓室階には外リンパ液が満たされており、中間階(蝸牛管)の内部には内リンパ液が満たされている。1
耳介および外耳道を通って集められた音波は、鼓膜を振動させ、中耳の耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)を介して内耳の卵円窓へと伝達される。1 アブミ骨底が卵円窓を振動させると、蝸牛内の外リンパ液に波動が生じる。3 この外リンパ液の振動は前庭階から蝸牛の頂点である蝸牛頂を経て鼓室階へと伝わり、最終的に正円窓で振動が吸収される。1
外リンパ液と内リンパ液の波動運動によって、中間階の内部にある基底膜が上下にたわむ。3 基底膜の上には聴覚の受容器であるコルチ器(ラッセル器とも呼ばれることがある)が存在し、その中には有毛細胞と呼ばれる感覚細胞が並んでいる。1 有毛細胞の頂部には静毛と呼ばれる微細な毛状の突起があり、基底膜の振動に伴って静毛が蓋膜に対して曲げられる。3
静毛が曲げられることで有毛細胞の膜電位が変化し、機械的刺激が化学的信号へと変換される。2 このプロセスを経て放出された神経伝達物質は、有毛細胞にシナプスを形成しているラ氏神経節(らせん神経節)の神経線維を興奮させる。1 生じた神経インパルスは、前庭蝸牛神経(第VIII脳神経)の蝸牛神経を通り、脳幹の耳鼻科的中枢神経系を経て大脳の聴覚野へ伝達されることで、音として知覚される。1
また、蝸牛はその構造的特性により、音の周波数(高低)を空間的に分離する周波数局在(トノトピイ)という性質を持っている。3 蝸牛底(卵円窓に近い底側)では高周波の音に基底膜が反応し、蝸牛頂(頂端側)では低周波の音に基底膜が反応するようにできている。1