HEALTH WORDS / 用語解説
外側中隔核腹側部
ventral part of the lateral septal nucleus
外側中隔核腹側部とは、脳の前脳部に位置する中隔核の外側中隔核を構成する領域の一つであり、情動や報酬系、ストレス応答などの高次脳機能において重要な役割を果たしている神経解剖学的な部位である。12
哺乳類の中隔は、大脳辺縁系の中核をなす構造であり、解剖学的に内側核群、外側核群、後方核群などに分類される。1 その中で外側中隔核はさらに背側部、中間部、腹側部に細分化され、それぞれの領域が異なる神経回路や機能を担っていることが知られている。1 外側中隔核腹側部は、特に海馬や視床下部、中脳の腹側被蓋野といった報酬や感情の調節に関与する脳部位との間で、密接な神経接続を有している。2
この領域の主要な神経伝達物質としてはGABA(ガンマ・アミノ酪酸)が挙げられ、脳内の抑制性シナプス伝達において中心的な役割を果たしている。1 外側中隔核全体として、海馬のCA3野などからの入力を強く受けており、記憶の形成や空間学習、さらには不安行動の制御に関与していることが神経科学の分野で明らかにされてきた。1 特に腹側部に位置する領域は、社会的行動や動機づけ、ストレスに対する生理学的応答の調節に対して特異的な関与を示唆する研究が進められている。2
基礎医学や神経科学の研究において、外側中隔核腹側部を含む中隔領域の詳細な神経回路網の解明は、精神疾患や神経疾患における情動障害のメカニズムを理解する上で重要な知見を与えると期待されている。1