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HEALTH WORDS / 用語解説

情動障害

Emotional Disorder

情動障害とは、喜怒哀楽などの情動の表出や調節に著しい偏りや持続的な統御不全が生じ、社会生活や個人の精神健康に支障を来す状態の総称である。1

医学および精神医学の領域において、情動障害は単一の独立した疾患名として扱われるよりも、気分障害や不安障害、あるいは発達障害や神経症などにおける情緒面の症状を包括する概念、あるいは特定の診断分類における下位概念として用いられることが多い。人間の脳における大脳辺縁系や前頭葉の機能異常がその背景に関与していると考えられており、環境要因や遺伝的素因が複雑に絡み合って発症するとされている。1

情動のコントロールが著しく困難になる結果、患者は自身の感情を適切に表現したり、他者の感情や状況に合わせた行動を選択したりすることができなくなる。これにより、対人関係の構築に摩擦が生じたり、職場や学校などの社会生活適応が著しく阻害されたりする臨床的特徴を持つ。症状の現れ方は一様ではなく、些細な刺激に対して過剰に激高する易怒性を示す場合もあれば、長期にわたって深い抑うつ状態や意欲低下が持続する場合もある。また、場面にそぐわない感情の表出や、感情の平板化といった定型的でない反応が見られることもある。2

臨床診断においては、詳細な精神医学的面接を行い、患者の生育歴、生活環境、症状の持続期間や重症度を総合的に評価することが求められる。精神病性障害やパーソナリティ障害、脳器質性疾患など、類似した情動症状を呈する他の精神疾患との鑑別診断を行うことが極めて重要である。評価尺度や心理検査を用いて客観的なデータを収集することも、正確な病態把握のために不可欠である。2

治療および支援のアプローチは、原因や背景病態に応じて多角的に展開される。薬物療法としては、抗うつ薬や気分安定薬、抗精神病薬などが症状の軽減や感情の安定を目的として処方されることがある。これと並行して、認知行動療法などの精神療法や心理社会的支援を実施し、患者自身が自身の情動の変化に気づき、ストレス対処行動(コーピング)を習得するための支援が行われる。さらに、家族支援や福祉サービスの活用を通じて、地域社会全体で療養環境を整えることが社会復帰と再発防止において重要な役割を果たす。1

参考文献・出典

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/psychiatry/ys-067.html ↩1 ↩2 ↩3
  2. 国立精神・神経医療研究センター: https://www.ncnp.go.jp/nimh/hospital/patient/disease.html ↩1 ↩2