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HEALTH WORDS / 用語解説

外来生物

Alien species

外来生物とは、もともと生息していなかった地域に、人間の活動によって意図的または非意図的に持ち込まれた生物の総称である。環境省や国際自然保護連合(IUCN)などの公的機関では、国内外を問わず、本来の生息分布域外へ移動させられた種を指すものとして定義されている。これらは必ずしも直ちに生態系に悪影響を及ぼすわけではないが、移動先の環境に適応して個体数を急激に増加させた場合、様々な問題を引き起こす要因となる。1

外来生物の移入経路には、食用、観賞用、毛皮用、緑化用などの目的で人間が意図的に導入したケースと、船舶のバラスト水への混入や、木材・貨物の輸入に伴う非意図的な混入(迷入)によるケースが存在する。グローバル化に伴うヒトやモノの移動の活発化により、移動の速度および規模は歴史上かつてないほどに増大している。2

移入された外来生物のうち、特に導入先の生態系、人間の健康、または農林水産業に対して深刻な悪影響を及ぼす、あるいはそのおそれがあるものを侵略的外来種(Invasive alien species)と呼ぶ。我が国においては、「外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)」に基づき、生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすものを「特定外来生物」として指定し、飼養、栽培、保管、運搬、輸入などを原則として禁止している。3

外来生物による生態系への主な影響としては、捕食や競争による在来種の絶滅または個体数減少が挙げられる。たとえば、固有種が多く生息する孤立した島嶼生態系は、外来の捕食者や競合種に対する防衛策を持たないことが多く、極めて高い脆弱性を示す。また、近縁な在来種との間で交雑(遺伝子汚染)を引き起こし、固有の遺伝子型や亜種としての純血性が失われる問題も生じている。4

さらに、外来生物は農業や林業、水産業などの第一次産業に対しても多大な経済的損失をもたらす。害虫や病原体の媒介、あるいは農作物を直接食害することによる生産量の低下は深刻であり、その防除や駆除には莫大な社会的コストが恒常的に費やされている。人間の健康被害の観点では、毒を持つ生物による刺咬や、感染症を媒介する媒介動物(ベクター)としての役割を持つ外来種が、公衆衛生上の重大な脅威となることもある。5

外来生物の対策としては、「入れない」「捨てない」「拡げない」という「外来種被害予防三原則」が広く周知されている。すでに定着してしまった侵略的外来種に対しては、モニタリング調査を実施した上で、物理的防除(手取り、捕獲網など)、化学的防除(薬剤の使用)、生物的防除(天敵の導入など、慎重な検討を要する)を組み合わせた総合的有害生物管理(IPM)の視点に基づいた駆除作業や根絶事業が行われる。しかし、一度定着した外来生物を完全に排除することは技術的・財政的に極めて困難であるため、早期の発見と初期段階での迅速な対応が極めて重要視されている。6

参考文献・出典

  1. 生物多様性センター:外来種とは何か: https://www.biodic.go.jp/biodiversity/index.html ↩
  2. 環境省:外来種問題とは?: https://www.env.go.jp/nature/intro/2what/index.html ↩
  3. e-Gov法令検索:特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律: https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000078 ↩
  4. 国立環境研究所:侵入生物データベースの概要: https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/ ↩
  5. 農林水産省:外来種被害予防三原則と農業への影響: https://www.maff.go.jp/j/syo_an/tikusei/kasei/gairai.html ↩
  6. 環境省:外来生物法の概要と防除の基本方針: https://www.env.go.jp/nature/intro/3law/index.html ↩