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HEALTH WORDS / 用語解説

子嚢菌門

Ascomycota

子嚢菌門とは、真菌界に属する最大の分類群の一つであり、減数分裂によって形成される子嚢の中に子嚢胞子の内生的な産生を特徴とする真菌類の総称である。1 生物多様性における重要な構成要素であり、酵母や糸状菌などの多様な形態を示す生物が含まれている。1

子嚢菌門に属する生物は、菌糸が発達して有隔壁の菌糸体を形成することが多いが、酵母のように単細胞性のものも存在する。1 栄養生長を行う栄養体は通常単相(n)であるが、有性生殖の過程において一時的に二相(2n)の期間や二核相(n+n)を経過することが特徴である。2

有性生殖においては、雌器と雄器の接触または菌糸間の形質転換により形質が融合し、特有の有性胞子である子嚢胞子を作り出す。1 この子嚢胞子は、多くの場合子嚢と呼ばれる袋状の構造物の内部に決まった数(通常は4個またはその倍数の8個)だけ形成される。2 子嚢は裸出することもあるが、多くの分類群では複雑な組織からなる子実体である子嚢果の中に包まれて形成される。1 子嚢果の形態は、閉じる構造を持つ閉嚢殻や、孔が開いたフラスコ状の被子殻、皿状やカップ状を開く盤子殻など多様性に富んでおり、これらは分類学上の重要な形質として扱われる。2

無性生殖においても非常に活発であり、分生子と呼ばれる外生的な胞子を分生子柄上に多数形成して効率的に増殖する。1 この分生子による繁殖は、環境条件が良好な場面において個体数を急激に増やす主要な手段となっている。2

子嚢菌門には、学術研究や産業利用において極めて重要な生物が数多く含まれている。1 例えば、モデル生物として遺伝学や細胞生物学の発展に大きく貢献してきたアカパンカビや、パンや酒類の発酵に利用される出芽酵母などの酵母類がこれに該当する。2 また、ペニシリンなどの抗生物質を生産するアオカビの仲間や、伝統的な発酵食品の製造に欠かせないコウジカビなども子嚢菌門に属している。1

一方で、子嚢菌門には植物に深刻な病害をもたらす植物病原菌も多数存在し、農業や林業の分野で大きな問題を引き起こすことがある。2 さらに、地衣類を形成する菌類の大部分も子嚢菌門に属しており、藻類やシアノバクテリアと共生関係を築くことで極限環境を含む多様な環境に適応している。1

参考文献・出典

  1. 生物多様性センター: https://www.biodic.go.jp/JIBE/info/f_ascomycota.htm ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9
  2. 独立行政法人製品評価技術基盤機構: https://www.nite.go.jp/nbrc/cultures/fungi/about/ascomycota.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6