ホームノムシタケ

HEALTH WORDS / 用語解説

ノムシタケ

Cordyceps sensu lato / Cordycipitaceae

ノムシタケとは、主に昆虫やクモなどの節足動物や地下生菌の子実体に寄生して子実体を形成する子嚢菌門の菌類の総称である。1

広義にはバッカクキン科などに属する虫草菌類を指すことが多く、生態系において宿主の個体群を制御する重要な生物多様性の一端を担っている。2

ノムシタケの生活環は非常に特異であり、多くの場合、胞子が宿主の表皮や気門から侵入して感染を成立させる。

宿主の体内へと侵入した菌糸は、宿主の栄養分を吸収しながら成長し、やがて宿主の組織全体を自身の菌糸体へと置き換えていく。

宿主が死亡する直前まで、寄生された昆虫は特異な行動を示すことがあり、植物の茎や葉の裏、あるいは地中に潜り込むなど、真菌の子実体が胞子を広範囲に飛散させるのに最も有利な場所へ移動する習性が確認されている。

宿主が死に至ると、その死骸の外骨格から子実体(柄と頭部)を地上へ向かって伸長させ、先端部付近に子嚢殻を形成して子嚢胞子を放出する。

この子実体の形態や色彩、宿主となる分類群の選一性は種によって多様であり、地下に生息するセミの幼虫を宿主とするオオセミタケや、チョウやガの幼虫に寄生するクモノスノムシタケなど、多種多様な分類群が存在している。2

近年の分子系統解析やDNAを用いた系統分類学的研究の進展により、従来の形態学的な特徴に基づく分類の見直しが急速に進められており、バッカクキン目における科や属の再編が詳細に行われている。1

これに伴い、従来の広義のノムシタケ属(Cordyceps)は複数の属へと分割され、Cordycipitaceae(ノムシタケ科)やOphiocordycipitaceae(タイガースタケ科)などの新しい科に再配置されるようになった。

薬用真菌としての歴史的背景もあり、冬虫夏草をはじめとする一部のノムシタケ類は、伝統的な生薬や民間薬として利用されてきた。

これらの種からは、特異な生理活性物質や代謝産物が数多く単離されており、免疫調節作用や抗腫瘍性を持つ成分に関する薬理学的な研究が精力的に進められている。1

参考文献・出典

  1. J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201002279269550798 ↩1 ↩2 ↩3
  2. 国立科学博物館: https://www.kahaku.go.jp/research/db/botany/mushroom/cordyceps/index.html ↩1 ↩2