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HEALTH WORDS / 用語解説

左気管支

左気管支とは、気管が左右に分岐した後に左肺へと向かう、気管支の左側部分である。1 胸部内において、気管は第5胸椎の高さ(胸骨角の高さ)で左右の主気管支へと分岐する。2 分岐した気管支のうち、右側の主気管支(右気管支)と比較して、左気管支は細く、かつ長距離を走行するという特徴がある。1 また、右気管支が気管の走向に対して比較的垂直に近い角度で右肺へ入るのに対し、左気管支はより水平に近い緩やかな角度で左肺へと向かう解剖学的特徴を持っている。2

解剖学的な位置関係として、左気管支は大動脈弓の下方をくぐり抜けるようにして左肺の肺門へと達する。3 この走行上の特徴から、心臓や大動脈などの胸腔内臓器による圧迫や影響を受けやすい部位としても知られている。4 気管から分岐した左気管支は、左肺の内部に入った後、上葉支と下葉支とにさらに分岐する。2 左肺は上葉と下葉の2つの肺葉に分かれているため、右肺の気管支系と比較して分岐の構造や枝分かれのパターンが異なる。4 それぞれの枝はさらに細かく区域気管支へと枝分かれし、最終的に肺胞に至るまでの空気の通り道として重要な機能を担っている。1

臨床医学の領域において、左気管支は気管支鏡検査や気管支内視鏡を用いた画像診断・生検などの手技の際によく観察されるターゲットとなる。5 しかし、前述したように右気管支に比べて傾きが水平に近く、気管からの分岐角度が鋭角であるため、気管内チューブの挿入や異物の誤嚥(ごえん)などの際には、異物が比較的まっすぐ入りやすい右気管支に落ち込みやすい一方で、左気管支特有の狭窄や病変の評価には高度な手技が要求されることがある。4 また、胸部のCT検査やX線写真などの画像診断においても、左気管支の太さ、形状、周囲のリンパ節による腫脹の有無などは、肺癌や気管支炎、喘息などの呼吸器疾患を鑑別する上で極めて重要な所見となる。6

参考文献・出典

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/medical/ym-052.html ↩1 ↩2 ↩3
  2. 慶應義塾大学医学部 解剖学教室 正常人体解剖学: https://www.hosp.keio.ac.jp/annai/shinryo/anatomy/anatomy/index.html ↩1 ↩2 ↩3
  3. 国立国会図書館サーチ(医中誌Web等準拠解剖学データ): https://cir.nii.ac.jp/crid/1570291226590209536 ↩
  4. 日本呼吸器学会 呼吸器用語辞典: https://www.jrs.or.jp/modules/glossary/index.php?content_id=5 ↩1 ↩2 ↩3
  5. 日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医制度: https://www.jsre.org/publication/index.html ↩
  6. 国立がん研究センター がん情報サービス: https://ganjoho.jp/public/index.html ↩