HEALTH WORDS / 用語解説
平衡密度勾配遠心法
equilibrium density gradient centrifugation
平衡密度勾配遠心法とは、遠心力場において密度の異なる溶液中に生じた密度勾配を利用し、粒子のもつ浮遊密度の差に基づいて生体分子や細胞などを分離・精製する遠心分離法の一種である。1
この手法では、あらかじめ遠心管内に塩化セシウムやショ糖などの溶質を用いて底に向かって連続的に濃度が高くなる密度勾配を形成させておくか、あるいは塩化セシウム溶液に試料を混ぜて超遠心分離にかけることで遠心力によって自動的に密度勾配を形成させる。1
遠心分離が開始されると、溶液中の粒子は遠心力によって移動を始め、自身の密度と溶液の密度が等しくなる位置、すなわち浮遊密度が一致する平衡点に到達するとそれ以上移動しなくなる。2
この平衡状態に達した位置において、粒子は帯状のゾーンを形成して分離されるため、分子量や大きさではなく密度のわずかな違いに基づいて高精度に分離することが可能となる。2
特にDNAやRNAなどの核酸やタンパク質といった生体高分子の分析において極めて強力な手法であり、同位体ラベルされた分子の検出や、プラスミドDNAの超らせん構造による分離などにも広く応用されている。1
また、細胞生物学の分野においては、細胞小器官であるミトコンドリアやリソソームなどの画分を単離するための標準的な手法としても利用されている。2
遠心分離の際には長時間の超遠心を要することが多く、温度管理や遠心条件の精密な設定が分離の成否を大きく左右する重要な要素となる。1