HEALTH WORDS / 用語解説
遠心分離法
Centrifugation
遠心分離法とは、物質を懸濁する液体に高い遠心力を加えて、比重や大きさの異なる成分を分離・濃縮する汎用的な実験室技術および工業的操作である。1
この手法は、回転運動によって生じる遠心力を利用し、溶液中における微粒子の沈降速度を高めることで達成される。1
生物学や医学の分野においては、細胞、細胞小器官(核、ミトコンドリア、リボソームなど)、タンパク質、核酸(DNAやRNA)といった多様な生体物質を単離・精製するための基礎的かつ不可欠な手法として広く採用されている。2
遠心分離を行うためには遠心機と呼ばれる装置が用いられ、試料を入れた遠心管をローターに装着して高速で回転させる。1
回転速度や遠心加速度(一般に重力加速度の何倍かを示すRCFやxgという単位で表される)、および遠心時間を調節することにより、沈降する成分の分子量や密度に応じた分画が可能となる。1
遠心分離法にはいくつかの基本的な方式が存在し、代表的なものとして密度勾配遠心法や沈降平衡法などが挙げられる。1
密度勾配遠心法では、スクロース(ショ糖)や塩化セシウムなどの密度勾配をあらかじめ形成した液体中に試料を載せて遠心分離を行い、各成分が自身の浮遊密度と一致する位置でバンド状に平衡に達する性質を利用して高い純度で分離する。1
これにより、ウイルスやプラスミド、微細な細胞構造物を高精度に分画・回収することが可能となる。2
臨床医学や検査医学の領域においても、遠心分離法は日常的に活用されている。1
例えば、採取した血液を遠心分離にかけることで、有形成分である赤血球、白血球、血小板と、液体成分である血漿や血清とに速やかに分離することができ、生化学検査や血清学検査の前処理として極めて重要な役割を果たしている。1