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HEALTH WORDS / 用語解説

扁平

Flat / Squamous

扁平とは、生物学や医学の分野において、物体や組織、細胞などの形状が立体的ではなく、上下あるいは前後に押しつぶされたように平たくなっている状態を指す一般的な形態学用語である。1

生物の体表を覆う上皮組織や細胞の分類において、「扁平」は非常に重要な基準の一つとして用いられる。例えば、組織学的に分類される上皮の一つである扁平上皮は、高さに対して幅が非常に広い平らな細胞で構成されている。この扁平上皮は、さらに一層のみで構成される単層扁平上皮と、何層もの細胞が重なり合った重層扁平上皮とに大別される。2

単層扁平上皮は、物質の透過や拡散が効率よく行われる場所に適しており、哺乳類の肺における肺胞の壁や、血管やリンパ管の内面を覆う血管内皮などに広く分布している。これにより、酸素や二酸化炭素などのガス交換や、血漿成分の効率的な物質移動が可能となっている。3

一方、重層扁平上皮は、物理的な摩擦や乾燥などの外部刺激から体表や体内を保護する役割を担っている。ヒトの皮膚の表皮や、口腔、食道、肛門などの粘膜の表面は、この重層扁平上皮によって保護されている。表層の細胞は絶えず摩擦によって剥離脱落していくが、基底層側にある細胞が分裂を繰り返して上方に押し上げられることで、組織の恒常性が維持されている。4

また、細胞そのものの形態を指す場合だけでなく、病理学的な所見や肉眼的な病変の形状を表現する際にも「扁平」という言葉は多用される。例えば、皮膚科学において皮膚の腫瘍や皮疹が周囲の皮膚面からあまり盛り上がらず、平坦な広がりを持つ場合に「扁平な丘疹」や「扁平黄色腫」などのように表現される。悪性腫瘍の一つである扁平上皮癌は、皮膚や粘膜などを構成する扁平上皮細胞から発生するがんであり、医学的な診断や治療方針の決定において極めて重要な疾患概念となっている。5

このように、「扁平」という用語は、単に平らであるという形状の描写にとどまらず、組織の機能分化や物質代謝の効率性、さらには様々な疾患の病態生理や組織診断を理解する上での基礎的な概念として、医学・生物学の幅広い領域で用いられている。6

参考文献・出典

  1. 日本皮膚科学会 皮膚科用語解説: https://www.dermatol.or.jp/qa/index.html ↩
  2. 解剖学用語委員会 解剖学用語: https://www.anat.jp/ ↩
  3. 国立国会図書館サーチ リサーチ・ナビ: https://rnavi.ndl.go.jp/ ↩
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/ ↩
  5. 国立がん研究センター がん情報サービス: https://ganjoho.jp/ ↩
  6. 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器情報提供: https://www.pmda.go.jp/ ↩