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HEALTH WORDS / 用語解説

発声時

Phonation

発声時とは、ヒトを含む発声器官を持つ動物において、呼気を利用して声帯を振動させ、音声の原音を生成している瞬間あるいはその状態を指す医学的・生理学的用語である。1

発声のメカニズムは呼吸器系、喉頭、声道およびそれを制御する神経系の高度な協調運動によって成り立っており、発声時には肺から押し出された空気が気管を通って喉頭へと送られる。2

喉頭部に位置する声帯は、発声時に内喉頭筋の作用によって正中線方向へ内転して声門を狭め、適度な緊張と閉鎖状態を維持する。2

この閉じられた声門の下部から呼気圧が加わると、空気の圧力によって声帯が一時的に押し広げられて上方および外側方向へ変位し、声門が開放される。1

声帯が開いた後には、組織のもつ弾性や、流体の高速通過に伴って生じるベルヌーイの定理による局所的な圧力低下(負圧)が働き、声帯は再び中央へと引き戻されて閉鎖する。2

この声帯の粘膜波動を伴う急速な開閉の繰り返し、すなわち振動が継続的に発生することにより、連続的な気流が断続波へと変換され、喉頭原音が生み出される。1

発生した喉頭原音は、その上位に位置する咽頭、口腔、鼻腔などの声道を通過する過程で共鳴を受け、周波数成分が選択的に強調または減衰される。2

さらに、舌、口唇、軟口蓋などの構音器官が運動することによって音声としての特異性が与えられ、最終的な言葉や音声として体外へ放射されることとなる。2

発声時の生理学的な制御においては、迷走神経の枝である反回神経や上喉頭神経が極めて重要な役割を果たしており、これらが声帯筋や輪状甲状筋などの喉頭筋群を支配することで、声帯の長さ、厚さ、張力が微細に調節されている。1

この神経支配や筋群のバランスに異常が生じると、音声障害や失声症、あるいは声帯ポリープや声帯結節などの病態が引き起こされる原因となるため、臨床医学や耳鼻咽喉科学の分野において発声時の動態評価は重要な検査項目となっている。2

参考文献・出典

  1. 慶應義塾大学 総合医学研究センター 医学用語解説: https://www.hosp.keio.ac.jp/annai/other/glossary/ ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット: https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yk-057.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6