HEALTH WORDS / 用語解説
喉頭粘膜
Laryngeal mucosa
喉頭粘膜とは、喉頭の内腔を覆う粘膜であり、上気道の防御機構や発声において重要な役割を果たす組織である。1 2
喉頭は咽頭と気管の間に位置し、空気の通路であるとともに誤嚥を防ぐ弁としての機能を持つ。その内腔を被覆する喉頭粘膜は、上皮組織とその下層にある固有層から構成されている。1
喉頭粘膜の上皮構造は、部位によって異なる特徴を示す。声門部や声帯の自由縁などの摩擦や機械的ストレスを受けやすい領域では、保護機能に適した重層扁平上皮が分布している。2 1
一方で、声帯以外の多くの喉頭内腔、例えば喉頭蓋の喉頭面の一部や室帯などの領域では、多列線毛上皮が観察される。この線毛上皮には杯細胞が含まれており、粘液を分泌して吸気に含まれる塵埃や病原体などの異物を捕捉し、線毛運動によって咽頭側へと排除する浄化機構(粘液線毛クリアランス)を担っている。1 2
固有層は結合組織からなり、血管やリンパ管、神経末端が豊富に分布している。声帯に存在する固有層はさらに独特な層構造(浅層、中層、深層)に分かれており、Reinke層と呼ばれる疎性結合組織の領域は発声時における声帯粘膜の波動や柔軟な振動に不可欠な物性を提供する。2 1
このように、喉頭粘膜は呼吸、嚥下、発声という生体にとって極めて重要な機能を円滑に営むために、複雑かつ精緻な組織学的特徴を備えた生体防御組織である。1 2