HEALTH WORDS / 用語解説
細胞死誘導型AIF
細胞死誘導型AIFとは、通常はミトコンドリアの内膜に存在し、アポトーシスなどの細胞死の際に核へ移行してDNAの断片化を引き起こすタンパク質の一種である。1
アポトーシス誘導因子(AIF:Apoptosis-Inducing Factor)とも呼ばれ、カスパーゼ非依存的な細胞死経路において中心的な役割を果たす分子として知られている。2
このタンパク質は、健康な細胞においてはミトコンドリアの内膜に局在しており、酸化還元酵素としての働きを持つなど、細胞の生存やエネルギー代謝において重要な役割を担っている。1
しかし、細胞が何らかのストレスやアポトーシス刺激を受けると、ミトコンドリアの外膜透過性が亢進し、細胞質へと放出される特性を持っている。2
細胞質へ遊離した細胞死誘導型AIFは、その後核内へと移行する。1
核に到達した細胞死誘導型AIFは、クロマチンの凝縮やDNAの大規模な断片化を直接的あるいは間接的に引き起こし、細胞を不可逆的な死へと導く。2
一般的なアポトーシスではカスパーゼと呼ばれるタンパク質分解酵素の活性化が主導的な役割を果たすが、細胞死誘導型AIFはカスパーゼが関与しない経路、すなわちカスパーゼ非依存的アポトーシス経路において不可欠な因子として機能する。1
このような分子機構を持つことから、細胞死誘導型AIFは神経変性疾患や虚血性疾患などの病態時における細胞死のメカニズム解明や、それらに対する新たな治療法の標的として学術的に広く研究されている。2
参考文献・出典
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907026779426217 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4
- NBDC 研究データクラウド: https://integbio.jp/rdf/togosite/view/gene_xref_kegg ↩1 ↩2 ↩3 ↩4