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HEALTH WORDS / 用語解説

適応策

Adaptation

適応策とは、気候変動や地球温暖化による現在の影響および将来予測される気候変化に対し、生態系、人間社会、経済活動の脆弱性を軽減し、被害を最小限に抑えつつ新たな持続可能性を追求するための政策、技術、および行動的措置を指す環境政策上の重要な用語である12。

気候変動に対する人間のアプローチには、温室効果ガスの排出削減や吸収源の強化を通じて地球温暖化そのものの進行を抑制する「緩和策(Mitigation)」と、すでに避けられないあるいは予測される気候影響に対して受容力を高める「適応策(Adaptation)」の2つの柱が存在する32。

産業革命以降の人為起源の温室効果ガスの蓄積により、地球温暖化の進行はすでに無視できないレベルに達しており、たとえ今後強力な緩和策が講じられたとしても、過去の排出に起因するある程度の気候変化は不可避とされている1。

そのため、緩和策だけでは不十分な部分を補完し、気候リスクに対するレジリエンス(回復力)を社会全体で高める手段として、適応策の重要性が国際的にも強調されている12。

具体的な適応策の分野と事例は多岐にわたり、農業・水産業においては、高温障害に強い品種改良や栽培時期の変更、水温上昇に対応した養殖技術の導入が行われる1。

水資源および水環境の領域では、水不足に対応するための海水淡水化施設の整備や雨水利用システムの普及、節水技術の高度化が推進される1。

自然災害および防災の分野では、海面上昇や台風の勢力増大に伴う高潮、豪雨による洪水・土砂災害を防ぐため、海岸保全施設の強化、堤防のかさ上げ、遊水地の整備、さらにはハザードマップの更新や早期警戒システムの構築といった構造物的・非構造物的対策が一体となって実施される12。

健康および公衆衛生の側面においては、夏季の熱中症患者増加を抑制するための熱中症警戒アラートの運用、都市部におけるヒートアイランド現象を緩和するための緑化推進や遮熱性舗装の導入、蚊などの媒介生物が広範囲に生息するようになることによる感染症の流行拡大を防ぐためのサーベイランス体制の強化などが挙げられる1。

さらに、生態系および生物多様性の保全においても、気候変動によって生息環境が脅かされる動植物のためのコリドー(回廊)の確保や、サンゴ礁の白化現象への対応など、自然資本の維持を図るための生態系を活用した適応策(EbA: Ecosystem-based Adaptation)の概念が取り入れられている1。

日本国内においては、2018年に気候変動適応法が施行され、国による気候変動適応計画の策定が義務づけられたほか、地方公共団体においても地域気候変動適応計画の策定や地域気候変動適応センターの設置が進められている12。

これにより、科学的知見に基づく気候リスク評価を行いながら、地域の特性に応じた適応策を行政、事業者、住民が連携して社会実装していくアプローチが定着しつつある12。

参考文献・出典

  1. 環境省 気候変動適応情報プラットフォーム: https://ccop.nies.go.jp/about/adaptation.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10
  2. 国立環境研究所 災害予測・適応研究分野: https://www.nies.go.jp/kankyogi/v60/v60-04-05.html ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6
  3. 気候変動適応情報プラットフォーム: https://ccop.nies.go.jp/about/adaptation.html ↩