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HEALTH WORDS / 用語解説

電気的融合法

電気的融合法とは、高電圧のパルス電場を用いて細胞同士を物理的に結合させ、融合細胞を作出する細胞工学および分子生物学の手法である。1

この技術はハイブリドーマの作成や遺伝子導入、細胞融合などの研究分野において幅広く応用されている。2

電気的融合法の基本的なプロセスは、まず誘電泳動を利用して細胞同士を接触させ、その後に短時間の高電圧パルス電場を印加するという二段階のステップから成り立っている。1

生体の細胞膜は本来、脂二重層構造をとり電気的な絶縁体に近い性質を示しているが、外部から適切な強度のパルス電場が与えられると、膜電位が変動して細胞膜の一部に一時的な微小孔が形成される。2

この現象は電気穿孔法(エレクトロポレーション)としても知られており、電気的融合法はこの可逆的な膜の透過性亢進状態を利用している。1

接触している細胞の境界部分において細胞膜の構造的な再構成が誘導されると、両者の細胞質が連続して一つの融合細胞へと形を変える。2

従来用いられてきたポリエチレングリコール(PEG)などの化学物質を用いた細胞融合法と比較して、電気的融合法にはいくつかの重要な利点が存在する。1

第一に、化学物質の毒性による細胞死やダメージを回避しやすいため、細胞の生存率を高水準に維持しながら高効率に融合細胞を得ることができる点があげられる。1

第二に、電場の強度、パルスの持続時間、通電回数などの物理的パラメータを精密に制御することが可能であるため、実験の再現性に優れ、目的とする細胞の種類や大きさに応じた条件の最適化が容易である。2

さらに、処理時間が短く操作手順が比較的シンプルであるため、大量の細胞を処理する際にも強力な手法として活用されている。1

一方で、電気的融合法を成功させるためにはいくつかの厳密な条件設定が求められる。2

使用する懸濁液の導電率や浸透圧が適切に調整されていない場合、過剰なジュール熱が発生して細胞が損傷を受けたり、期待通りの融合効率が得られなくなったりする。1

そのため、緩衝液の組成やイオン強度を厳密に管理することが、実験を成功させるための重要な要素となっている。1

このように、電気的融合法は物理工学的な手法と生物学的な知見を融合させた高度な技術であり、現代のライフサイエンス研究においてなくてはならない基盤技術の一つとして位置づけられている。2

参考文献・出典

  1. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaeat1973/5/1/5_1_27/_pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8
  2. J-STAGE: https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/28/6/28_6_319/_pdf ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6