HEALTH WORDS / 用語解説
頸神経環
ansa cervicalis
頸神経環とは、頚神経の前枝から構成され、舌骨下筋群を支配する神経ループのことである。1
頸神経環は総頸動脈および内頸静脈の前面またはその周囲に位置することが多く、前頭面においてループ状の吻合を形成する。2
この神経構造は通常、上根と下根の2つの根から成り立っている。1
上根は舌下神経の一部が分枝した線維を含み、第1頸神経または第1および第2頸神経の神経線維由来成分を運ぶ。2
一方、下根は第2および第3頸神経の前枝から移行する線維によって構成されるのが一般的である。2
これらの上根と下根が結合することにより、頸神経環というループが形成されることになる。1
頸神経環から分岐する枝は、主に胸骨舌骨筋、胸骨甲状筋、甲状舌骨筋および肩甲舌骨筋といった舌骨下筋群へと分布する。2
ただし、甲状舌骨筋へ向かう神経線維は頸神経環の本体から直接分かれるのではなく、上根の途中から分岐して舌下神経の経路を少し伴いながら筋肉に至ることが知られている。2
これらの舌骨下筋群は、嚥下運動や発声時における舌骨および喉頭の位置調整に重要な役割を果たしている。2
臨床医学の領域においては、頸部周辺の外科手術、例えば甲状腺切除術や頸動脈内膜剥離術などの際術野においてこの頸神経環やその構成枝を同定し、損傷を避けるための解剖学的目印として極めて重要視されている。2