HEALTH WORDS / 用語解説
CYP2C9*3
CYP2C9*3
CYP2C9*3とは、ヒトの肝臓などに多く発現し薬物代謝において重要な役割を果たすシトクロムP450(CYP)の主要な分子種の一つであるCYP2C9遺伝子の、代表的な遺伝子多型(アレル)の一つである。1
CYP2C9遺伝子は遺伝子多型を非常に多く持ち、その中でも「*3」アレル(バリアント)はアミノ酸配列の置換を伴う変異型として知られている。2
具体的には、CYP2C9*3アレルではエクソン7内において塩基置換が生じており、これによりタンパク質を構成するアミノ酸が変化する。1
このアミノ酸の変化は、酵素の立体構造や機能に対して少なからず影響を及ぼすことが明らかにされている。2
CYP2C9酵素は、ワルファリンやフェニトイン、あるいは多くの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)といった臨床的に極めて重要な医薬品の代謝・排泄を担っている。1
そのため、このCYP2C9*3のような遺伝子多型を有している患者では、野生型である*1アレルと比較して酵素活性が著しく低下することが多くの研究によって示されている。2
酵素活性が低下するということは、対象となる薬剤の体内動態に大きな変化をもたらすことを意味している。1
通常であれば肝臓で速やかに代謝され不活性化される薬剤が、CYP2C9*3を持つ個体では代謝スピードが遅くなるため、血中濃度が異常に上昇しやすくなる。2
その結果、通常用量の投与であっても副作用や薬物有害反応の発現リスクが高まることが知られており、臨床医学や薬理学の分野で非常に重視されている。1
特に抗凝固薬であるワルファリン療法においては、CYP2C9*3を含む遺伝子多型の存在が、出血などの重篤な副作用を引き起こす主要なリスク因子の一つとして広く認識されている。2
こうした背景から、患者ごとの遺伝子型を事前に検査し、それに基づいて投与量を個別に調整する個別化医療(オーダーメイド医療)の領域において、CYP2C9*3は必須の検査項目の一つとして位置づけられている。1