HEALTH WORDS / 用語解説
RhoB
RhoB
RhoBとは、低分子量G蛋白質のRhoファミリーに属するGTPaseの一つであり、細胞骨格の動態制御、エンドサイトーシス、小胞輸送、細胞周期の進行、およびアポトーシスの誘導など、多様な細胞機能の調節に関与する分子である。1
Rhoファミリーに属するタンパク質であるRhoAやRhoCと比較して、RhoBは独特の細胞内局在と生理的役割を示すことが知られている。1 多くのRhoファミリーGTPaseが細胞質膜や細胞質全体に広く分布するのに対し、RhoBはファルネシル基やゲラニルゲラニル基といったプレニル化を受けることでエンドソーム膜や核膜などに特異的に局在する性質を持つ。1 この局在の多様性は、RhoBが細胞内で異なるシグナル伝達経路を制御するための重要な要因となっている。1
分子生物学および細胞生物学の分野において、RhoBは癌抑制遺伝子としての機能を持つ可能性が示唆されている点でも注目されている。2 多くの悪性腫瘍において、RhoBの発現量は正常組織と比較して低下していることが観察されており、その発現低下は腫瘍の増殖、浸潤、および転移の促進に関連付けられている。2 一方で、特定のがん細胞株や刺激条件においては、RhoBがアポトーシスを誘導する促進因子としても働くことが報告されており、細胞の生存と死のバランスをとる上で複雑かつ重要な役割を果たしている。1
また、RhoBは表皮成長因子受容体などの受容体のエンドサイトーシスやリソソームを介した分解の調節にも寄与している。1 これにより、細胞外からの増殖因子に対するシグナル応答の強度や持続時間を微調整し、細胞増殖や細胞運動を適切にコントロールしている。1 アクチン骨格の再構成を介した細胞運動の制御においても、RhoAがストレスファイバーの形成を促進するのに対し、RhoBはアクチンの動態を柔軟に変化させることで、細胞の遊走や接着を空間的・時間的に制御する機能を持つ。1