HEALTH WORDS / 用語解説
STARTドメイン
START domain
STARTドメインとは、主に脂質代謝や細胞シグナル伝達に関与するタンパク質に見出される、約210アミノ酸残基からなる保存されたタンパク質ドメインである1。
STARTという名称は、StAR(Steroidogenic Acute Regulatory protein)関連脂質転移(Lipid Transfer)ドメインに由来している1。このドメインは、コレステロールやホスファチジルコリン、セラミドなどの多様な脂質分子と特異的に結合するポケット構造を有している点が大きな特徴である1。多くの真核生物において、細胞質と細胞膜あるいはオルガネラ間における脂質の非小胞輸送を仲介するキャリアとして機能している1。
ヒトのゲノムにはSTARTドメインを持つ遺伝子が複数存在し、そのファミリーは構造や機能的特徴に基づいていくつかのサブグループに分類される1。代表的なものとして、コレステロールのミトコンドリア内膜への輸送を担うStARタンパク質や、コレステロールの細胞内恒常性を維持するSTARD1からSTARD15までのタンパク質群が挙げられる1。これらはステロイドホルモン合成の速度律速段階を制御するほか、スフィンゴ脂質の代謝やシグナル伝達経路においても極めて重要な役割を果たしている1。
近年の分子生物学および生化学的な研究により、STARTドメインの異常や変異は、脂質代謝異常症や副腎皮質機能障害、さらには特定種のがんの発症など、様々な疾患病態に深く関与していることが明らかになりつつある1。また、植物科学の領域においても、STARTドメインを持つタンパク質がホルモン応答や脂質輸送に関与していることが報告されており、生物種を超えて普遍的かつ重要な分子機構であることが示されている2。