HEALTH WORDS / 用語解説
TAO
TAOとは、大動脈弁狭窄症(Aortic Valve Stenosis)などの医療用語の略称として用いられるほか、科学技術や学術研究の分野において複数の定義を持つ用語である。12
医学および循環器病学の領域において、TAOは難治性の血管炎である高安動脈炎(Takayasu Arteritis)の英語表記の略称としても使用される。34
高安動脈炎は、大動脈およびその主要な分枝、さらに肺動脈や冠動脈などの太い血管に炎症を引き起こす疾患である。35
本疾患は、1908年に日本の眼科医である高安右人によって学会報告されたことが名称の由来となっており、英語圏では「Takayasu's arteritis」や「Pulseless disease(脈なし病)」などと称されることもある。3
高安動脈炎の病態は、血管壁に慢性炎症が生じることで血管の内膜が肥厚し、血管の狭窄や閉塞、あるいは拡張や動脈瘤の形成を引き起こすものである。36
好発年齢は若年層の女性に多く見られる傾向があり、特に20代から30代の女性での発症率が高いことが知られている指定難病の一つである。37
臨床症状としては、血管が狭窄または閉塞する部位によって多様な全身症状および虚血症状が現れるのが特徴である。36
初期段階では、発熱、全身倦怠感、食欲不振、体重減少、関節痛などの非特異的な炎症症状や全身症状が認められることが多い。33
病状が進行し、大動脈から分岐する上肢の動脈(鎖骨下動脈など)に狭窄が生じると、両腕の血圧低下や脈拍の触知困難、あるいは腕の冷感や脱力感などが生じる。36
また、頭部へ向かう血流が障害されることで、めまい、頭痛、視力障害、さらには脳梗塞などの脳虚血症状を合併する場合がある。36
腎動脈が狭窄した場合には腎血管性高血圧症を引き起こし、著しい血圧上昇や腎機能障害を招くことがある。36
さらに、心臓の弁膜症である大動脈弁閉鎖不全症や、冠動脈病変による狭心症・心筋梗塞を併発することもあり、心不全の原因となるため注意が必要である。35
診断にあたっては、詳細な問診や身体診察による脈拍の左右差や血管雑音の聴取が行われる。36
画像検査としては、血管造影検査(アンギオグラフィー)や造影CT検査、MRI検査、超音波検査(エコー検査)などが用いられ、血管の狭窄、閉塞、拡張、および血管壁の肥厚を確認する。36
加えて、PET-CT検査などを活用して血管壁の炎症活動性を評価することもある。82
血液検査では、赤血球沈降速度(血沈)の亢進やC反応性蛋白(CRP)の高値といった炎症反応の指標が上昇することが一般的である。3((MSDマニュアル プロ
参考文献・出典
- 国立国会図書館サーチ: https://iss.ndl.go.jp/ ↩
- J-GLOBAL 科学技術総合リンクセンター: https://jglobal.jst.go.jp/ ↩1 ↩2
- 難病情報センター: https://www.nanbyou.or.jp/entry/269 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9 ↩10 ↩11 ↩12 ↩13 ↩14 ↩15
- 厚生労働省 難治性疾患政策研究班: https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/27443 ↩
- 国立循環器病研究センター: https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/ud/hosp-s057/ ↩1 ↩2
- MSDマニュアル プロフェッショナル版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/07-心血管疾患/血管炎/高安動脈炎 ↩1 ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7
- 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/index.html ↩
- 国立研究開発法人国立国際医療研究センター: https://www.ncgm.go.jp/ ↩